我々に必要なもの、それは読書だと思うんだ(まだ気分転換中)

 今日は風が超強かったですね(乱れ髪遠藤)。


 昨日は関東地方は大雪で大変そうでしたね。皆様は大丈夫でしたか?


 関西はただ単に大雨だったので、そこまで影響はなかったです。というか、この地域は関西でいいのだろうか……


 そんなわけで続きといきましょう。


 いつまで気分転換するのか?


 気分転換できるまでだっ!(答え)








 今回はラノベでいきましょう。

 最近はめっきり読まないのですが、高校生頃〜大学生頃はラノベばかりだった気がします。

 今のトレンドは正直掴めていない時代遅れの産物ではありますが、ちょっと前にもいいのあるよと紹介できればいいかなって思っていたりするといいなと考えてますかも。





『AURA〜魔竜院光牙最後の闘い〜』 田中ロミオ


 教科書を忘れて忍び込んだ夜の教室。


 月明かりに照らされた静謐な青。


 竜端子。


 街に伝わる願いを叶える欠片を探す者、魔女と出会った。






 っていうあらすじを書くと、バリバリバトルあり感動ありのファンタジーのように思いますね。


 でもこれは、ドリームソルジャー厨二病患者たちの物語です。


 この物語に出てくる人物の大半は厨二病です。


 前世の記憶を持っていたり、幻の力を持っていたり、現代に蘇りし剣聖だと自らを思っている方々がたくさんでてきます。


 イタイイタタタ、アイタタタタ。


 主人公、佐藤一郎(無個性の塊)は中学生の時代、重度の厨二病患者だったのですが、卒業を機に高校デビューを果たします。目指したのは普通というポジション。


 しかし周りの厨二病たちに好かれて、クラスカーストで再び転落してしまいます。


 学校という箱庭の残酷さ、厨二病がテーマなのですが、コミカルなのにリアルに痛みの伴う表現は、さすがのロミオ節。私が勝手に心の師匠だと崇めているだけはあります。いまだにクロスチャンネルを超える物語と出会えないんだもの。


 一巻完結なのでお手軽に読めるところもおススメです。そして特におススメなのは、あとがきの面白さです(どこ進めとんねん)。





『電波女と青春男』 入間人間


 高校入学を機に、叔母の家に居候することになった丹羽真。


 高校生になれば、青春を全力で楽しむと意気込む真は、叔母にあって初めて、実は同い年の従姉妹がいると知らされる。


 叔母宅に入った瞬間に出迎えたのは、


 布団妖怪スマキンだった。




 ジャンルで言うと、プチSFラブコメですかね。


 この物語の凄さって、ライトノベルの割に地味すぎる展開なんです。


 従姉妹のエリオは、粒子を纏わせたような蒼髪の美少女ですが、宇宙人に誘拐されて行方不明になっていました。


 その真相は謎ですが、宇宙人はいると吹聴して周り、結果的に学校を辞めてひきこもります。


 発言は電波そのもので、鬱陶しさもあり真はエリオの妄想的な思いを断ち切ってやることに決めました。


 もう完結していますが、オススメは二巻です。


 作者名からうかがえるように、ひねくれているなと感じるのですが、展開に意味をつけることが抜群に上手いのです。


 40歳になった叔母がペットボトルロケット打ち上げるだけで泣かされるとは思いませんでした。


 ペットボトルロケットをなんで打ち上げたか、どういう心情があったか、それは誰のための行為だったか。この出来事に纏わる過去は、そしてペットボトルロケットを打ち上げたことで手に入れたものは。


 そんな一つの行為に感動を付随させることがとても上手なのです。デビュー時は劣化西尾維新という意見もある作家の実力は伊達じゃないです(今はそうは思いませんが)。


 そしてもう一つの天才的な手腕。


 メインヒロインは三人(あっちょ出てこないでください)なのですが、まさかハーレムエンドではなく、全員と結ばれたエンディングを描いたことです。


 妄想でですが、


 ラブコメでは、選ばれなかったヒロインに対するけじめのつけ方で評価が分かれるものですが、その手があったかと思いました。まさか妄想で全員分やるとか、これは天才だわ。


 アニメ化した作品ですが、アニメでやっちゃダメな作品です。アニメにするには地味過ぎる。


 けれど、小説の方はとても好きです。アニメのデザインと声は最高でしたが。






『イリヤの空、UFOの夏』 秋山瑞人


 6月24日、全国的にUFO記念日。


 せっかくの夏休みは、UFOの張り込みに奪われて、思い出づくりに学校のプールに忍び込むと、


 腕に丸い球体の埋め込まれた、不思議な美少女と出会った。


 浅羽直之と伊里野可奈。


 UFOの夏が始まってから終わるまでの、ちょっぴり切ない一夏のボーイミーツガール。




 ちょぴり切ないどころじゃないわ場合によってはトラウマじゃぼけえ(キレ芸)。


 UFOを探そうという平和じみたラブコメかと思ってたらとんでもないです。


 所謂セカイ系です。


 僕らの見えないところで、戦争が行われている。地球の存亡をかけた戦争が。


 主人公の浅羽は、ただの中学生男子です。特殊な力も何もなければ、突出した何かもない。等身大の少年です。


 この物語の怖いところは、目に見えない恐怖があるのです。当然イリヤは人類存亡をかけるレベルの重要な存在なのですが、とある理由によりイリヤは人類を救うキーとはなり得なくなりました。


 ただの中学生が恋愛染みた気持ちで世界に立ち向かえるはずもない無情さ。


 勇気を持って行動したけれど、間違えてしまった。等身大の姿。


 そんな普通の少年は、最後に言い放ちます。


 怖かっただろう。死すらも覚悟しただろう。


 決めたんだ。世界を、滅ぼそうって。


 UFOの夏が終わった切なさは、10年以上経った今でも、忘れられそうにありません。





 改めてすげえですね。シャナも禁書目録も鋼殼のレギオスもいぬかみっも。そういった熱いバトル溢れる物語も読んでいたはずなのに、一個もない。


 好みがいかに偏っているかがわかりますね。







 次はジャンルで言うと現代ファンタジーになるんですかね。

 現代を舞台にしながらも不思議な世界観や幻想に恵まれる。そんな物語です。




『ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ』 滝本竜彦


 チェーンソー男は敵なんだ。


 この世の悪や悪いことを詰め込んだ、人類が忌むべき悪なんだ。


 ある日突然現れたチェーンソー男を退治する。突然力を得た美少女絵里と偶然出会った主人公の山本陽介。


 戦う女子高生となんとなく出来た縁を大事にしながら、事故で亡くなってしまった友人について思いを馳せる。


 今日も無気力に、ネガティブに。




 ネットで一世を風靡した『NHKにようこそ』の作者様です。全国のひきこもりの間で「俺のところにも岬ちゃん来てくれ」って話題でしたね。


 それはともかく、普通の男子高校生が主役というものはありふれていますが、山本くんは無気力系普通です。


 なんというか、厨二的な無気力系じゃなくて、この世に希望を持つことができない、自分なんていつ死んでもいいと思っているような、社会の病理が産んだような無気力さです。


 ちょうど社会情勢がとても悪くて、未来に希望を持てない若者で満ちていた時代の典型例のようにも思います。まあ今でも無気力さは続いているような気もしますが。


 何もできないし不良というには度胸もない。適度に男子高校生で、先生も困っている。怒りようがない。情熱がないから。


 だって世の中はままならないことばかりで、希望なんて感じない。時代に彩られたネガティブさを感じます。


 正直、文章が上手いとは思いません。気力と感情で書かれたような印象です。


 きちんと終わりますが、感情的にすっきりするわけではないのです。もういっそのこと、殺してくれても良かったと泣きじゃくります。


 でも、心が写す感情は一つじゃなくて、かつて亡くなった友人に強がりを放ちます。


 生きているオレが羨ましいだろ。


 結局何もかも中途半端に生きるしかない。


 しょうがないんだよ。生きているんだから。






『鴨川ホルモー』 万城目学ぶ


 京都大学に入学し、葵祭の帰り道、へんなサークルに引き入れられた。


 京大青龍会。


 何をやるところかといえば、ホルモーである。


 それはまぎれもない競技である。


 変な言葉を操り、小鬼を行進させて相手の小鬼を全滅させれば勝利。


 わけのわからない青春と恋。


 笑いと涙はホルモーと共にあり。





 京都産業大学玄武組


 立命館大学白虎隊


 龍谷大学フェニックス


 そして京大青龍会


 四つの大学間で行われる伝統競技ホルモー。小さい鬼を使役して戦わせる。レーズンを与えれば傷ついた鬼も回復する。


 この物語のウリは、ヘンテコさです。意味のわからなさです。


 こんな普通に話せば頭がおかしいやつ認定されそうなヘンテコ競技は、歴史と伝統と共に続いているのです。


 将来に関わる大事な時期にわけのわからんことをしてていいのだろうか。ホルモーやってましたって就活で言っても、プラスになんてなるはずもない。


 意味不明なことに全力を尽くせる。それこそ青春の醍醐味ではありませんか。


 映画にもなっていますし、京都の街並みの美しさは、やはり物語映えしますね。森見登美彦先生も西尾維新先生もそういえば京大卒でしたね。京大作家ばかり集まってますね。


 馬鹿馬鹿しい恋と青春模様は、とても楽しいです。






 あまりにも書きすぎですね。


 おかしい、やりすぎて気分転換が気分転換となっていない気がします。


 まあ大体好きなものを紹介できましたし、次がラストで。












『新世界より』 貴志悠介


 人々が呪力という能力を手に入れた1000年後の日本。


 人々の住む場所は限定され、立ち入り禁止区域も設定されていた。


 何も不自由ない幸せな世界。将来の自由を約束された理想郷に暮していた早季。


 しかし、1000年前の日本は国土も広く、まだ人々は能力を得るに至っていなかった。


 人々がどのようにして呪力を得て、世界はなぜ細分化されたのか。


 過去の歴史に触れてしまった時、この世界は不自由さに支配されたディストピアであることを知る。





 上中下巻のよくばりセットに加えて、一巻が400〜500ページほどの大ボリュームなのですが、二日で読んでしまいました。それほど夢中に読み進めました。


 序盤はとても普通の生活が描かれて、何もかも満たされた幸せな世界を享受しています。


 しかし、人類の裁断や戦争の存在を知ります。そして、人類に対して協力的だった獣の顔をした種族が不穏な動きを始めます。


 練りに練られた世界観に圧倒されます。世界がこうなるに至った過程はもちろん、動物の習性を取り入れて社会統制を図っています。ボノボという動物は同性同士でも性器の接触によりストレスの軽減を図ります。

 性行為は最後まで至らなければ、むしろ親愛を獲得するために推奨されているのです。たとえ子供同士でも。


 中学生になると、同性同士の疑似恋愛がむしろ推奨されるのです。ノンケにもホモにもレズにもサービスシーン作るとか貴志先生マジパネェッス。


 それはさておき、とても長けているところは息もつかせぬピンチの連続です。本当にいつこの不安から解放されるんだろうってやきもきさせられます。


 気持ちが萎えてうんざりする寸前までひたすら追い詰められてハラハラします。


 後半なんか、一族最強と言われているキャラですら……。


 ここまで人を追い詰めることができるのって、とてつもない才能だと思います。


 そして、現れた敵は現人類よりも下等な種族として扱われます。けれども知恵を使い、技術を使い、現人類を追い詰めていきます。


 しかも敵側の最強の切り札が本当に切ない。さすがホラー作家。クソドSだと思います。


 詳細かつ感情をひたすらに絞られる物語。これぞエンターテイメントだといったストーリーでした。



 唯一、唯一言いたいことがあります。





 あまりにも伏線や展開が完璧すぎて、敵の正体に驚きがなかったところだけが思うところです。


 まあでも、読めるということはそれだけ完璧ということです。


 濃密でハードな時間を、約束してくれます。










 いやあ、気分転換とか言いながら疲れました。


 けれども、好きなことを好きっていうことって楽しいですね。


 まあだからこそ、私はこんな自主企画をしているのかもしれないですね。


 好きは別に好きなだけでいいんです。


 けれども、それを共有することって、心地よいことだと思うんです。


 生まれも性別も人生経験もまるで違う人たちと、なんらかの形で繋がれる。


 好みじゃないという真逆の思いでも、繋がることができる。


 自分じゃない誰かがいてくれるという感覚、それだけでなんだか嬉しいですね。




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