止まらない波⑥
チェカは、正太郎の背中に寄り添うように、暴れまくるチェンの
(もしかすると、ヘギンス元曹長もあれにやられたのかもしれない……)
可能性は非常に高かった。ヘギンスがリーダーを務める〝ジャンク隊〟の他の隊員二名は彼を十分に慕っているようだったが、その実は非常に出来の良い彼をどこか
「教官、実は……」
「ああ、分かっている。分かっているよ、チェカ。俺も君を助ける直前にこの目で見たんだよ。あのヘギンスの変わり果てた姿をな」
「では、教官はどうお考えになっておられるのでしょうか?」
「ああ、そうだな……。多分だが、俺も君と同じ考えかもしれねえと思っている」
チェカは、一瞬心拍が上がった。まるで彼に心の中を見透かされているようで胸辺りが苦しくなった。
「きょ、教官……。じゃあ、教官もヘギンス元曹長をあのようにしたのは、リロイ・リーゲルとハーミ・レミントンの所業であると……?」
正太郎は黙って
彼は、押し黙ったままチェンのなれの果ての動向を
「今回だけは、この俺もしてやられたって感じだぜ……」
「え? そ、それはどういうことなのですか、教官?」
チェカは、らしからぬ男の言葉を背中越しに聞いた。
「へへっ。どうやら、してやられちまったんだよ、俺たちは。奴らに……この俺も。そして俺たちみんなも……」
※※※
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます