虹色の細胞㉓
正太郎は、軽々と小紋を抱き抱えたまま、巨木の上に用意しておいたフェイズファイターに乗り込む。
「え、羽間さん、これって……?」
「ああ、お前があっちの世界から頂戴して来た戦闘機だ。ついこの間、俺は初乗りしたんだが、なかなかどうしてイケてるもんだぜ?」
彼はそう言って、小紋を後部にある複座に身を促すと、
「さあ、行くぜ!!」
そう言って操作系を確認するや、機体を急速降下させた。
「わ、わああ、羽間さん!!」
小紋は突然のことに
「へへっ、安心しろ!!」
とばかりに機首をぐいと上げて機体を急上昇させ、
「な? こういった場合はこれに限るぜ」
と微塵も悪びれもせずに振り向きざま、小紋に片目で合図する。
「もうっ! 再開したばかりなのに、羽間さんたら!!」
小紋は、可愛らしいほっぺたを小さく膨らませた。
すると、その間に割って入るように、
「浮かれ過ぎよ」
複座に
「なんだよ、エナ。焼きもちか?」
口角を上げて鼻で笑う正太郎に、
「そうよ! 悪い? こう見えても、あたし、独占欲は強いのよ」
「だから?」
「あなた分かってる? この機体のサポートはね、全部あたしが取り仕切っているの。あの爆発でサポート人工知能がイカレちゃったから、こうしてあたしが直接サポートしているのよ。あなた、あたしをのけ者にして満足な航行が出来ると思って?」
「あ、ああ……そりゃ悪かった、エナ。愛してるぜ、ベイビー。お前は最高だ。最高のレディだ。許してくれ、お前が一番だ。エナ、お前は最高だ」
「一番じゃなくて、特別って言って!」
「ああ、エナは俺にとって特別だ。特別の……」
「特別の何よ?」
「特別のパートナーさ」
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