見えない扉㉕


「お身体のお世話って……。あっ」

 小紋は言われて自分の身体の至る所をまさぐった。すると、

「ああ、そんな……。もう僕、お嫁に行けない……」

 急に恥ずかしくなり、彼女は顔を真っ赤にして布団の中に身をかがめてしまった。

「大丈夫で御座いますよ。ここはすべてが女の園。その辺りのデリケートな部分は考慮済みです」

「い、いや。考慮済みって……」

 布団の間から意味ありげに差し込まれている数本の管。これが本当に配慮の末の結果なのかと乙女心に彼女はそう思う。

「さすがは小紋様ですね。あの大膳様の御息女でいらっしゃるだけあって、お身体の方はかなりご丈夫でいらっしゃいます。身体機能の方には何の問題もございません。ですが」

「ですが?」

「ええ、ですが、ひと月の間も寝たきりでいらっしゃったので、かなり筋力や反射能力の方は衰えているはずです。ここからは、リハビリなどを取り入れませんと」

「は、はあ。そうですね。だ、だけど、それよりも」

「ええ、存じておりますよ。お仲間の安否のことで御座いましょう?」

 サトミル女史は、口に手を添え微笑んで見せると、

「さあ、これをご覧ください」

 彼女が目の前に映し出したホログラムスクリーンの中には、美しく舞い踊るかのように訓練をこなすカレンバナとシグレバナの姿があった。

「彼女たちも、小紋様がお目覚めになられる少し前に意識を取り戻しました。そして、元87部隊の彼女たちも、このサンクチュアラの住民になるための適性試験を受けていただくことになりました」

「適性試験って?」

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