見えない扉㉕
「お身体のお世話って……。あっ」
小紋は言われて自分の身体の至る所をまさぐった。すると、
「ああ、そんな……。もう僕、お嫁に行けない……」
急に恥ずかしくなり、彼女は顔を真っ赤にして布団の中に身をかがめてしまった。
「大丈夫で御座いますよ。ここはすべてが女の園。その辺りのデリケートな部分は考慮済みです」
「い、いや。考慮済みって……」
布団の間から意味ありげに差し込まれている数本の管。これが本当に配慮の末の結果なのかと乙女心に彼女はそう思う。
「さすがは小紋様ですね。あの大膳様の御息女でいらっしゃるだけあって、お身体の方はかなりご丈夫でいらっしゃいます。身体機能の方には何の問題もございません。ですが」
「ですが?」
「ええ、ですが、ひと月の間も寝たきりでいらっしゃったので、かなり筋力や反射能力の方は衰えているはずです。ここからは、リハビリなどを取り入れませんと」
「は、はあ。そうですね。だ、だけど、それよりも」
「ええ、存じておりますよ。お仲間の安否のことで御座いましょう?」
サトミル女史は、口に手を添え微笑んで見せると、
「さあ、これをご覧ください」
彼女が目の前に映し出したホログラムスクリーンの中には、美しく舞い踊るかのように訓練をこなすカレンバナとシグレバナの姿があった。
「彼女たちも、小紋様がお目覚めになられる少し前に意識を取り戻しました。そして、元87部隊の彼女たちも、このサンクチュアラの住民になるための適性試験を受けていただくことになりました」
「適性試験って?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます