全世界接近戦㊽
小紋は、あの当時の正太郎の言葉を思い出していた。
(そうだよね。見えない敵に対しては、
銀色の円月輪が、元87部隊の彼女たちの妖艶なうなじを襲い来るたびに、小紋はその意識が彼女たちへの憎悪であることを察した。
格納庫への通路を奥へ奥へと突き進むたびに、手合いの番兵の数が増えて行く。
だが、そんな数にも勝る番兵たちを元87部隊の彼女たちは相変わらずものともせず進むのだが、どうにも見えない敵に対しては手も足も出せる様子ではない。
小紋はさらに考えた。
(お二人は、どうして手が出せないのか? それは敵の姿が認識出来ないからだよ……。でも、よく考えてみて。敵はカレンバナさんの姿もシグレバナさんの姿も良く見えている。だから、首筋の急所を狙ってあんな武器を投げつけて来ているんだ。敵がどんな技術を使ってあんなふうにしているかは分からないけど、こうやって投げつけて来ている事実だけは本当のことなんだ。それなら……)
小紋は意を決した。そして、
「カレンバナさん、シグレバナさん!! 作戦変更だよ! お二人とも僕の近くに来て!!」
言われて、
「何ですって!? それじゃあ……」
「鳴子沢さまのお命さえ危険にさらしてしまいますわ!」
両者は、息を合わせたように眉を
「僕に考えがあるよ! さあ、早く僕のすぐ
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