驚天動地の呪い㊾
「そういうことだ、小紋殿。世間では、そなたの師匠を二流、いや三流の戦略家だと揶揄する者たちが居る。だが、その者たちの言う話は言い得て妙であり、必ずしも間違った見方ではないと私自身も考える」
「あ、それ、羽間さん自身も言ってた。俺ァ、世間で評価されるほどの軍師でもなければ戦略家でもないって。自分は結構、行き当たりばったりなところがあって、たまたま結果に繋がっているところがあるんだ、ってね」
「フフッ、なるほど。それは面白いな。奴自身もそう感じていたのか。それは末恐ろしい話だ。しかし、そのことは本人が評しているのだから必ずしも間違いではないだろう」
「間違いじゃない? って言うと、デュバラさんは、羽間さんを軍師としてどう評価しているの?」
「うむ。私は、彼を軍師と言うよりも、〝瞬殺の魔物〟、もしくは〝機転の虎〟だと見ている」
「え? 瞬殺の魔物? 機転の虎?」
「ああ。つまり、言うなれば、奴は軍師とは名ばかりの個体だけが躍動する
言われて、さらに首をひねりまくる小紋に、
「フフッ、小紋殿がそんな表情をするのも無理もない。だが、私は以前、奴と直接戦った経験がある。無論、一対一の命のやり取りではなかったがな」
無言でうなづく小紋。
「その時、私は感じたのだ。そなたの師匠に対する今までにない多大なる恐怖をな。言葉にすることも出来ない得も言われぬ恐怖というものをな。そして今になって、その恐怖の根源の正体が理解出来る」
「そ、それが、さっき言ってた
「その通りだ、小紋殿。私が分析するに、奴は奴自身の頭の中で全ての戦略が瞬時に完結している。つまり、その場に居合わせ、対峙した人々は、奴の完結した無意識の中に取り込まれてしまっているという話だ」
「え? え? え? ちょ、ちょ、ちょっと、デュバラさん。それ、言っている意味が全然分かんない! まるで分かんない!」
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