驚天動地の呪い㊲
「憎んでる? どうして……」
小紋が、まん丸い瞳を真っすぐに向けた瞬間、
「そうよね。普通はそう言った反応をするのが当然なのよね。でもね、わたくしたちには、とある事情があるの」
「とある事情?」
「ええ、とある事情よ……」
「りゅ、竜子さん。その事情って……?」
小紋が聞き返した途端、竜子の表情が何とも例えようのない寂しげなものに変わった。
「そうね。ここまで言っておいて、もう隠す必要もないわね」
と言って、少しばかり作り気味の開き直った表情で、
「実はね、わたくしたち……元々は、この近くにある大学病院の末期の医療患者だったのよ」
「大学病院の末期医療……。ということは……?」
「そうよ。死ねない身体になる寸前まで、わたくしを始めとしたここに居る人たちはみんな、あの世に行く寸前だったということよ。このわたくしだって、この間までは末期の胃がんに苦しんでいたのよ」
「な、何ですって!?」
衝撃だった。小紋が一目置いていた人気女優が、実は終末医療で入退院を繰り返していた事実。
だが、本当の衝撃はこれで済まなかった。真に恐るべきは、これから竜子から語られる第二の真実である。
「普通に考えれば、終末を迎えていた人が、死ねない身体になったなら喜ぶべきだと思うでしょう? でもね、今度の何かを仕掛けたのがどこかの神様か悪魔かはわからないけれど、わたくしたち死の直前に居た人々を襲った、この病ともいうべき死ねない症状は、もうこれでもかってぐらい残酷なことをしてくれたわ」
「残酷なこと……ですか?」
「ええ、残酷なことよ。それもとびっきり残酷なこと」
「そ、それは……?」
「そう、どんなに生き返っても、元に戻ってしまうのよ。簡単に言えば、このわたくしの場合、末期のがんの痛みや苦しみに何度も何度もリピートしてしまうってこと……」
「え、ええっ……!?」
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