驚天動地の呪い⑬
言わずと知れた、古来より続く世界を裏で操る暗殺組織である。
以前のデュバラ・デフーは、この組織に属し、鳴子沢小紋の命ですら狙った経緯がある。
しかしデュバラ・デフーは、鳴子沢小紋が会得したとされる〝三心映操の法術〟の力に自分の未熟さを覚り、それがもとでクリスティーナ浪野を含めた縁が築かれたのだ。
縁とは不可思議なものである。
このデュバラ・デフーは、そんな小紋の特殊能力に強烈な嫉妬心を抱いたことから、彼女をこの世から抹殺しようと目論んでいた。だが、今やそれが縁となり、その能力を求めて彼女をここまで追ってきたのである。
「小紋殿。どうか、そなたの能力――〝三心映操の法術〟を駆使して、この私を導いて欲しい。いや、我が細君であるクリスティーナを救い出して欲しい。この通りだ」
デュバラは、地面に頭をこすりつけるぐらい深々と頭を下げた。
「や、やめてよう、デュバラさん! 僕たちの間では、そういうのはなしっこだよう!! 僕だって、クリスさんを助け出したい気持ちは同じなんだ。未だに僕にそんな能力があるのかは自覚がないけど、それでもこの僕を必要としてくれているのなら、僕はやるよ。相手が、あの途方もない力を持った黄金の円月輪だったとしてもね!!」
言いながら、それでも小紋は不安になる。
なにせ、やはり相手はあの殺人集団なのだ。それも、この広い世界中でかなり指折りの。
小紋は、まだ父大膳によって地球に強制送還を余儀なくされてしまった頃の、渋谷の道玄坂辺りでの大量虐殺事件を思い出していた。
して、そこで大量の首なし死体を作った張本人たちが、かの黄金の円月輪の面々だったのである。
あの光景を思い出すだけで、彼女は身震いを起こす。
とにかくあれは、一瞬の出来事だった。
そのような残虐非道正確無比の手練れな連中相手に、心の底から能天気な言葉を吐いていられようはずがない。
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