偽りの平穏、そして混沌㉛
羽間正太郎とベンジャミン・スミルノフ。
この両者は、たびたび商材の売り込み合戦をを繰り返すほどの間柄である。
彼らに共通したのは、互いにほとんど裸一貫の状態でこの世界に渡航し、そしてほとんど無一文の状態から
さらに、彼らには自分を支え込むだけのアカデミックな地位や企業的な資金と言ったバックボーンすら持ち得ていなかった。常に彼らは、自らの度量と行動力、そして根拠のない自信によって自らを奮い立たせ、そして結果を残していったのだ。
しかし、そこで両者に決定的な違いが生まれたのは、彼らにとっての出会いと、世界の風向きである。
先ず出会いとは、羽間正太郎にとっての一生の恩師、ゲネック・アルサンダールとの邂逅である。
羽間正太郎とゲネック・アルサンダールとの間に生まれた師弟のエピソードは、これまでに何度も語られてきたが、彼はその邂逅と日々培われて来た鍛錬によって、根拠のない自信を持つ者から、大地にしっかり根を張った実力者へと変貌することが出来た。
それによって、彼はこのまだまだ未開発な大地の行く末を全体像でとらえることが出来たのだ。さらに、肉体も精神も鍛え上げられたことによって、
「俺ァ、このままの肉体を維持したまま一生を終えて行きたい」
という〝
しかし、スミルノフは、羽間正太郎のように確実なる恩師の存在に出会えなかった。そして、不幸なことに彼の行く手には必ず凶獣襲来という災難が訪れていた。
この時代、凶獣の襲来という災難から逃れることは出来なかった。そして、それは地獄の業火から万遍なく降り注がれる火の粉のように人々を苦しみ続けていた。
「これでは、いくらなんでも我々人類が滅んでしまう……。私自身も、早急にヒューマンチューニング手術を受けねば……!!」
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