偽りのシステム114



 零時ちょうどをもって、作戦開始が発動された。

 彼らは一切声を出さなかったが、彼らのネットワーク内での雄たけびは凄まじいものがあった。

 それは、アルティメットサイバーシステムによる副効果的な作用であるものなのか、それとも覚悟を決めた無意識下から来る物なのかは定かではない。

 どちらにせよ、その進軍開始からの気合に満ちた雰囲気は、これそまさに現実なのである。

 エリケン指揮下の東側特攻部隊は、その数百五十五名からなる編隊によって構成されている。

 先ず、その先鋒を任されたフェイズウォーカー中隊は、峡谷を鶴翼の陣形を保ちつつ、攻防一体の役割を任された。

 その後方に隊をなしたのは、今作戦の肝となるアルティメットサイバーシステムを活用した〝化け物〟姿の面々である。

 その次鋒となる部隊の構成は、先頭に羽虫姿のミサイルポッドを携えた特殊空挺爆撃部隊。そして、その背後には地を這うムカデの下半身を持つ遊撃隊。そしてさらに、その背後からは見た目がケンタウロスさながらの下半身に換装された制圧隊。そしてさらにその背後には、車輪の付いた下半身に換装したことで重火器の実装を可能にした特殊支援部隊。

 そしてさらに、その殿しんがりを締めくくるのは、エリケンら、将校たちが駆る高速機動艇の十五機である。

 しかし、普段は陸戦艇の役割を担う高速機動艇とは違い、今回は将校ら自らが陸戦艇に身体を換装させ、人馬一体型のサイボーグと化している。彼らは、人たらしむる姿は一切捨て去っていた。

「ノックス・フォリーの作戦部は、俺たちを人扱いなどしていない。所詮、人間のサイボーグ化の実験材料としてしか見ていない。だが、それでいい。生きていさえすれば、時代が俺たちの功績にひれ伏す時が来るだろう!」


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