偽りのシステム㊺
シュンマッハがさらなる狂気を見せ始めたのはこの時期からであった。
本来なら、浮遊戦艦と言う後ろ盾を得たことで何らかの落ち着きを見せるところである。しかし彼は、今現在起きている物事の強大さに本能的に圧し潰されそうになっているのである。
「閣下!! 閣下!! お気を確かに!! 今現在、麾下である重臣を減らしてしまえば、自らの内紛の種になり兼ねません!! ここはお気を安らかに!!」
第二内務大臣であるヘーゲル・コルプスは、その脂肪で歪んだ身体を弾ませて彼を説き伏せようとするが、
「ええい、コルプス!! 貴様も吾輩に立てつく気か!? そんな奴は……!!」
言ってシュンマッハは、腰から簡易レーザーソードを抜き取ると、
「うわぁ、閣下!! お戯れを……!!」
肉厚の腹から鮮血をほとばしらせた。コルプスは胴から横に真っ二つになり、その場にぐったりと倒れ込む。
シュンマッハは、その屍の間からどろりと崩れ落ちる内臓の赤々としたぬめりを目下にしながら、
「貴様たちは吾輩の言う通りにしておれば良いのだ!! 何も考えるな、何もほざくな、何も意見などするな!! 神に選ばれし吾輩の下僕であれば、永遠の楽園は必ずや貴様らの手中に収まる!! そうだ、永遠の命だぞ!! 永遠の命と永遠の幸せは我らの目前にある!! ゆえに、吾輩の言いつけに励め!! そして遂行しろ! さすればその手中には全てが約束される!!」
狂気に満ちた彼を前にして、誰も抗える者は居なかった。誰もが命が惜しい。そして、誰もが家族を思い手が出せない。
それには考えることを止め、そしてただひたすら悪童の言葉に従う。それさえ遂行していれば、目の前のコルプスのような悲惨な目には遭わないのだから。
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