偽りのシステム㉞
「もしかしてそれは、我々の祖国の話では……シェラストン博士?」
言われて大膳が、慌てて口をはさむ。
「フフフ、まあ、そこはあえて言葉を濁すことに致しますわ。今話し合わなければならないのは、過去の過ちを〝もし〟で語り合うことではありませんから。そこから学び取って、これからの現在、未来に活かす方向に行きませんと……」
シモーヌの妖艶にも朱色に染まった口角が上がる。
「全くその通りだ、ダイゼン・ナルコザワ。そうでなくては、この俺も改心して貴君の勢力に従属する意味がない。シモーヌ博士は、そう言った意味合いで今の言葉を言ったのであろう?」
「あら、そう受け取られてしまいましたか、ワイズマンのおじ様?」
「ふん、白々しい。そうやって年寄り扱いしているようだが、実のところは
言って、リゲルデは腹の底からゲラゲラと笑った。この男、どうやら吹っ切れて来たようだ、と大膳は思う。
「では、ここで話の中身に入ることに致しましょう」
大膳が口火を切ると、ここからあっという間に寝ずの三昼夜が過ぎた。
この場所は、外界から時間という概念を遮断された特別な空間である。三昼夜とは言ったものの、彼らにそういった時間を経た感覚も無ければ、疲労の蓄積もない。
「なるほど、これで納得が行った。我々のすべきことは、この会議で全て理解出来た」
リゲルデは、満面の笑みで席を立つ。
「しかしですな、気を付けてください、リゲルデ殿。我々の集うこの部屋は、ご存じの通り自称〝五次元人〟たちによって提供されたものです」
「分かっている。五次元人とて、一筋縄ではないということだな。まだ、あちら側にも五次元人の本体があると……」
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