浮遊戦艦の中で296
リゲルデはゾッとした。その感触は正しく、
「ひ、人の骨か……!?」
頭部から肩にかけての人骨の一部だったからだ。
「わ、わあっ! 何でこんな所に!? み、見えなくとも分かるぞ!! これは成人した人間の骨そのものだ!!」
リゲルデの若き頃は医学生であった。シュンマッハと出会いゲリラ活動を行うまでは、彼はこのような人骨などの標本を嫌と言うほど扱っている。
それだけに、人骨がどのような形をしていて、どの程度の大きさ物であるかを感触だけで識別出来るのだ。
「ま、まさか……。こんなところに人の骨が転がっているとは……」
リゲルデは背筋が凍るように身震いした。だが、何故かは知らぬが、彼はどことなくこんなことを予期していた部分がある。
「彼女が……シモーヌが何か隠し事をしている節があったのを感じていたのは、このことなのか……?」
そう呟きながら、彼は闇の中で手探りをしながら人骨を両手でまさぐった。どうやら風化具合から察しても、ここ最近に死んだものでは無い様子である。
「だからと言って脆くもない。この骨の近くには衣服のような布切れも散乱している……。一体……一体何があったと言うのだ……?」
この空洞の闇の中では視認が出来ず、この骨がネイチャーの物であるのか、それともミックスの物であるのかは特定できない。ミックスのようなサイボーグ化された人物でも、大抵の骨はそのまま使用されているケースが多いからだ。
「一体、この場所は何だと言うのだ? 一体ここで何があったと言うのだ?」
リゲルデがそう呟いた時、いきなり坑道の先から足音らしきリズムが聞こえて来た。
「ま、まさか、シモーヌが? い、いや違う。もしシモーヌならば、この先から足音などは聞こえてこない。では、誰だ? 誰が近づいてきている……?」
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