浮遊戦艦の中で267
そう。リゲルデの白蓮改に不意打ちを仕掛けて来た正体。それは、比較的小型の凶獣ヴェロンだったのである。
「思った通りだ。あの息もつかせぬ機動性。そして、レーダーセンサーの類いに反応しにくい小さな体躯。もしやもすればと思っていたが、やはりその正体は小型の凶獣ヴェロンであったか!!」
凶獣ヴェロンにもいくつかの種類がある。
その中でも小型とされるヴェロンと言えば、群れを成して攻撃して来る彼らの司令塔の役目を司ると言われている。
「あれだけの衝撃がありながら、破損した部分が亀裂程度だというのが不思議だった。もし、フェイズウォーカーや、それらが発した武器の類いであれば、この程度で済む問題ではない。であるならば、ぶち当てられた物がもっと物理的に小さく、そして金属の類いではない可能性が高いのだ。ゆえに、その体躯では、いくら博物館行きの機体であろうとも、そう易々とはやられはせん。なぜなら、この機体は〝対凶獣用〟に開発された機体なのだからな」
白蓮改が今や旧式の機体だと言われようとも、やはりそれは対凶獣を意識して製作された機体である。凶獣の司令塔と呼ばれる小型のヴェロンの質量では、いくら体当たりをぶちかまされても致命的なダメージを負わすことは出来ないのだ。
リゲルデは、向かってくる小型のヴェロンに対し、腕の機銃で応戦した。小型のヴェロンは軌道を変え、白蓮改の頭の上で旋回を繰り返す。
「フフッ、やはり奴は攻撃に不向きなのだ。後方で指示を出しているのが関の山というわけだな」
言って、何故かリゲルデは何か釈然としない気分だった。どこか、何かがおかしい。
「どういうことだ? あのデカ物と小型のヴェロンはグルだとでも言うのか。それに、もしこいつらがグルだと仮定すれば、どちらもまるで戦闘力が平均以下だ……。まるで、どこか自分自身を見ているようだ……」
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