浮遊戦艦の中で250
剣崎がわざと反目するように問い掛けると、
『では、それについてお答えしよう。我々、君たち人類の名付ける
声の主は、抑揚もなく淡々と言葉を放った。その言葉には、真実味だけでなく、何やら悲壮めいたものさえ感じ取れる。
「しかし、ヴェロン……いや、声の主よ。お前の言ったその言葉を、そのままそっくり信じろという方が無理な話だ。我々人類には、古来からそうやって交渉を持ちかけて騙し討ちをするという手口さえある。この世界では、そのような話など珍しい話ではないのだ。お前たちが知恵をつけて進化というものを標榜するのなら、こちら側もそう考えるのは致し方ないことと言える。それについてはどう答えるのだ?」
剣崎は回りくどくなく率直に問い掛けた。この命題を問い掛けることによって、どういった答えが返って来るのか興味が湧いたからだ。
『なるほど、それは良い質問だ、君たち人類よ。ならば、我々とて無駄な戦いをしない理由をこちらから述べねばならん。我々は知ってしまったのだ。我々が何故、ここまで急激な進化を遂げねばならなかったのか。そして、これからも急激な進化を遂げて行かねばならぬのかを……』
「なんだと!? やはりお前たちの進化は留まることを知らないのか!? これで終わりではないのか!?」
『ふむ、どうやらそのようなのだよ、君たち人類よ。そして我々は、この急激な進化の途上を経て行く上で、その副産物として新たなる認知を手に入れてしまったのだ……』
「新たなる認知だと? そ、それはどういう……」
『そう、新たなる認知……。それはつまり、他次元世界の我々との情報の共有だ』
「な、何ぃ!? 他の次元世界の自分たちとの情報の共有だと!?」
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