浮遊戦艦の中で140
「さあ、これが現実だ。これが人間なのだ。貴様らは、余りにも生温い状況に身を置き過ぎた。余りにも理想を追い求め過ぎたのだ。だから、その理想郷を
言われて兵士たちは戸惑った。明らかに指揮官の言葉はおかしい。何か変な物にでも憑りつかれたように常軌を逸している。
だが、そんなことよりも、彼らは母国の家族を人質にされているのだ。あの奇声を上げた兵士のように、家族を洗脳された母国の同朋らの手によって惨殺を余儀なくされてしまうのだ。
一人が、フェイズウォーカーの片腕に装備された
マリダも、彼らを制するだけの言葉を見つけられなかった。説得するだけの言葉が見当たらなかった。
(
個人の感情のみで事を考える人間ならば、ここは悩まずにいられる場面である。
しかし、ここに集う討伐隊の面々は、時代の潮流に押し流されたにしろ、その過ちに気づき、そして現シュンマッハ政権に異を感じ始めた者ばかりである。
それだけに、親類縁者、はたまた内縁者を人質にされることは一番の泣きどころになってしまうのである。
「こ、このように惨いことなど、本当にあり得るのでしょうか!? 中佐殿!! リゲルデ中佐殿!! お返事なさい!! あなたは本当に人間なのですか!?」
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