浮遊戦艦の中で123
リゲルデが、困惑の面持ちでシャルロッテ中尉の寂し気な表情を見つめていると、
「中佐、リゲルデ中佐!! 斥候より伝令です!! たった今、現地点より北北西の大運河の辺りに、大部隊のフェイズウォーカーのホバー音と思われる音波波形をキャッチしたとの報告です!!」
通信オペレーターのルード軍曹の驚き混じりの声が指令室に
「なんだと!? それは本当なのか!? ルード軍曹、直ちに斥候がキャッチしたその波形をメインコンピューターの分析に掛けろ!」
「ハッ、今掛けているところであります!!」
「良しッ、それで解析には
「一分五十秒であります!」
「良し分かった! それならば同時に部隊全体に第一級警戒態勢を通達しろ! 分析結果を待っていたのでは見逃してしまうかもしれんからな!!」
「了解しました! 討伐編隊全部隊に通達!! これより本編隊は第一級警戒態勢に入る! 各人、直ちに追撃態勢に入られたし! 繰り返す、各人、直ちに追撃態勢に入られたし!」
ルード軍曹の鬼気迫った声が、通信回線を通して追撃全部隊に鳴り響く。
すると、討伐編隊の輸送陸戦艇の三艇に備えられている巨大な砲門がハッチよりせり出して来る。
「こうも簡単に見つかるとは……。俺にも運が向いて来たのか!?」
ほくそ笑むリゲルデに対し、
「中佐殿。どうも悪い予感がします。悪い予感が……」
不安げな表情でシャルロッテ中尉が言い寄って来る。
「悪い予感だと? ドールのお前が……か?」
興奮に水を差されたリゲルデは、怪訝な眼差して彼女を見やる。
「はい、悪い予感です。何と言いますか、まるで草葉の陰から虎にでも睨まれているような……」
「何を言い出すのかと思えば、随分とロマンチストな言い様だな。お前には、そんな才能まで備えられているのか?」
「冗談などではありません、中佐。私は……!!」
「良い良い、分かっておる。お前は俺を気遣うあまり、少しばかり機能が発達し始めたのだ。それはこの俺にとってとても喜ばしいことだ」
言ってリゲルデは快活に笑って見せた。興奮が彼を勇敢にし、そして今までの憂慮を一掃させる。
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