浮遊戦艦の中で㊿
「ショウタロウ・ハザマ。それは、考え過ぎじゃあ……」
「いや、考え過ぎなんかじゃねえ。実際に烈太郎も、お前の育ての親であるグリゴリも、この俺たち人間なんかとは、どこか違う考え方を持っていた。いくら今のお前が、この三次元ネットワーク上にあるデータ生命体であったとしても、元々お前はれっきとした人間だ。その違いだけは埋まることはねえ」
「そ、そんなものかしら……」
エナがそう返した途端、がれきの重なる街の向こう側から、何やら大きな物体が、ズシンズシンと豪快な足音を立てて近づいてきた。
「なんじゃこりゃあ! まるでこりゃあ、大地震の時みてえな地響き……!?」
「き、危険だわ、ショウタロウ・ハザマ! どうやらまた、災難がここに戻ってきたみたい!」
「災難!? なんだそりゃ!?」
「決まってるじゃない! さっきあたしが言った〝怪獣〟のことよ! きっとここを司っている巨大人工知能が、ここにあたしたちが居ることを
「ぬあにぃ!? そんじゃ、俺らの行動は奴らにバレバレなのか?」
「いいえ、ある程度はあたしの力でプロテクトを掛けてはいるだけど、どうやら巨大人工知能側は、それを打ち破るシステムを構築してしまったようだわ」
「なんと!?」
「でも、少しだけ時間をくれれば、あたしが新しいプロテクトを再構築出来るわ! ねえ、ショウタロウ・ハザマ。それまであなたが何とかして!!」
「ぬあにおう! こんな丸腰で、この俺に何をどうしろって言うんだ!? いきなりそんなこと言われたってなあ、エナ!!」
「そこを何とかするのが、あなたの役目でしょう、ヴェルデムンドの背骨折り!! 簡単な武器の類いなら、ほら……こうやってプログラムを構築して現実みたいに出現させられるから、ね? これでなんとかして!!」
そう言ってエナが手を振った先から、いくつかの銃火器が目の前に出現したのだ。
「へえ、今のお前にはそんなことが出来んのか。なるへそ、そりゃあここは電脳空間の世界ん中だからな。魔法みてえに便利に何かを具現化させられるってわけか」
「でもね、この状況ではこれが限界よ。少なくとも、フェイズウォーカーみたいな大きな物を具現化させるには、今のあたしの力では丸一日ぐらい掛かっちゃうと思う……!!」
「うへぇ、何とも頼りねえ魔女っ子ちゃんだな、ホント!! なら仕方がねえ! エナ、出来るだけ威力のある物と、レーザーソードを何本かだけここに出してくれ!!」
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