フォール・アシッド・オー69
「な、何ィ……!?」
デュバラがその声に振り返るや、そこにはぐったりとしたクリスティーナを抱きかかえた二分の一のサムライの姿があった。
「ば、馬鹿な……!! 貴様、あれほどまでに追い打ちをかけたというのに……!?」
デュバラが驚くのも無理はない。なぜなら、黒い鎧の中身がドロドロになって半壊した二分の一のサムライの身体が、一人の人間の姿となって再生していたからだ。
「この俺を甘く見るなよ。この身体はな、
二分の一のサムライは言うが、漆黒の鎧の亀裂からはドロドロになった濃灰色の油が滲み出している。
「き、貴様!! クリスを離せ!! 彼女をどうするつもりだ!?」
「どうするもこうするも決まってんだろうよ。このまま、今テメエらとやり合ってもとても勝ち目はねえからな。この女を人質にするまでよ」
「な、なんだと!? クリスを人質にだと!?」
「そうだ、俺ァ決めたんだ。またテメエらと一戦やり合うってな。そうと決めたからには交換条件が要る。そうよ、この女はそのための人質だ」
「き、貴様、よせ!! クリスティーナは今、とても大事な状態なのだ!! もし彼女になにかあったら……!!」
「そうだよ! クリスさんのお腹の中には、デュバラさんとの大事な赤ちゃんが居るんだよ!?」
小紋が割って入るが、
「へへん、嬢ちゃん。だからこの女を頂いて行くのよ。そうじゃなけりゃ、まるで人質の意味がねえんだよ。テメエみてえなじゃじゃ馬を人質にするようじゃあ、こちとらいくら命があったって足りやしねえからな」
「ふざけるな!! 二分の一のサムライ!! 貴様にそのような決定権があるはずもない!!」
「あるはずもないはずもねえよ!! その決め手をこっちは手にしたんだ。決めるのは俺の方だ。あばよ、また会える日まで楽しみにしてるぜ!!」
二分の一のサムライが素早く部屋の外に出た途端に、ミサイルにでも打たれたような猛烈な爆発音が建物中に広まった。
「うぉぉぉぉぉ!!」
「きゃぁぁぁ!!」
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