フォール・アシッド・オー51



「好き放題言いやがって!! テメエような奴に何が解かる!? オラオラオラ!! 今度はこっちから行くぜ!!」

 二分の一のサムライは、またぶつくさと何かを誰かに話しかけるようにしつつ、再三にわたり身体を分離させた。

 分離した身体は、まるで街灯の下に寄り集まる蚊トンボのように不規則に舞い、デュバラの周囲を取り囲む。

「テメエみてえな奴らはいつもそれだ! 散々っぱら上から目線で偉そうに言いやがって!! 俺ァそういうのが一番嫌ぇなんでえ!!」

 二分の一のサムライは叫びつつ、各々の身体の部位をデュバラ目掛けて叩き付ける。叩きつけられたデュバラは、円月輪を十字に構え否応なく体当たりして来る体の部位から身を守る。

「ええい、おのれ!! 上から目線などと、貴様はいちいちそんな下世話な言い様をせねば気が済まぬのか!? それほどの力がありながら、なぜに貴様はそう自分を卑下した言い方をする!? 貴様は力が全てだと語っておきながら、自分が弱い者と決めてかかっている。それではまるで道化ではないか!?」 

「ならばテメエのその言い様は、生まれてこのかた強い力を持ったお殿様って感じだな!! そういうのをおごってるって言うんだよ!! まったくその態度が気に入らねえってんだよ!!」

「笑止!! 貴様にこの俺の何が解かる!? この力は一朝一夕に手に入れたものではない!! いちいち自ら口にするのもはばかられるが、俺は今の今まで日々の鍛錬を怠ったことはない!! 貴様のように、他人に力を与えられて手に入れた物を自慢するような俗人と一緒にするな!!」

「俗人だと!? ああ、そういう言いっぷりが傲慢なんだよ、テメエらは!! 努力して手に入れた力だか何だか知らねえが、俺ァただテメエらのそういうところが嫌いなんだ!! そうやって俺たちを見下す態度が気に入らねえんだよ!!」

 叫び声と共に、二分の一のサムライの無数のパーツが電光石火の如くうなる。

 それでもデュバラは生身の身体にこだわり続けた。この相手を融合種ハイブリッダーの身体で倒しても意味が無いと悟ったからだ。この相手を自分の信念のもとに倒さねばこの先に進めないと感じていたからだ。



 

 

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