フォール・アシッド・オー㉞
(必殺!
デュバラがそれを念じた瞬間、幾何学的な軌道を描いた光輪が一斉に膨張を開始する。光輪は膨張と共にさらに輝きを増し、対象である二分の一のサムライの身体全体を強引に取り囲んでゆく。
「す、凄い!! あれじゃあ、どんなに黒い人が頑丈でも、ひとたまりもないはず……。もしかして、これで行けるの……!?」
小紋は一たび間合いを取りながらその光景に魅入られてしまう。
膨張した光輪は二分の一のサムライを包み込み、そのまま寸分の隙さえ与えず切り刻もうとする、しかし――
「うるぁぁぁ!! ぶぁかやってんじゃねえよ、この野郎!! そんなこけおどしにこの俺が屈するとでも思うのかぁ!!」
叫ぶや否や、二分の一のサムライは大刀をこれでもかというぐらい大きく振り回すと、なんと信じられぬことに目にも止まらぬ速さで全ての光輪をピンポン玉でも跳ね返すように打ち返してしまった。
(な、なんと……!!)
デュバラは驚愕の余りそれ以上の言葉が出ない。しかしそれは無理もないことである。流石に相手が相手だけに、この技で二分の一のサムライを地獄の底に葬り去れるとは思っていなかった。だが、あれだけのエネルギーを宿した高速回転の羽根を軽々と、しかも刀一本で弾き返してしまうなど誰も予想出来るものでない。
(な、何という手強さよ、何という出鱈目よ、何という規格外の男よ!! いくら今の攻撃が
デュバラは確信した。先程の自分の判断が間違いでなかったことを。
(小紋殿、絶対に気を抜いてはならん!! あ奴は文字通りの人の皮を被った化け物だ!! 人間の形をした鬼神そのものだ!! どんなことがあっても心に隙を作ってはならん!!)
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