不毛の街㉟
「一人だと……? てえことは、他の仲間はどうしちまったってんだい」
正太郎は問い質すが、
「はい……。多くはあの中に」
彼女はそう言って草葉の淵から手を出し、そのしなやかな指で浮遊戦艦を指差した。
「お、おい……。てえことは、つまり、キミのお仲間はみんな、あの未知の戦艦の中に入っちまったってのかい?」
「ええ、その通りです。身共以外の元87部隊の仲間たちは、あの浮遊戦艦の中に入ったまま、出て来ておりませぬ……」
「出て来てねえだと? じゃ、じゃあ、連絡は? キミたちミックスなら、三次元ネットワークとか、インタラティブコネクトとかで連絡が取り合えるはずだ」
「それが全く可能ではないのです。色々と試してはみましたが、三次元ネットワーク通信の電波も届かなければ、インタラティブコネクトをする特殊相互通信用の信号すらあの浮遊戦艦を貫くことが出来ないのです」
「なんだと? じゃあ、キミらのお仲間の所在どころか、生死に至っても不明なんだな」
「はい……」
彼女は頷いたまま、それ以上言葉を発しなかった。今まであれだけ気丈に振舞っていたフドウバナだが、こうなるとただ美しいだけの娘でしかない。
正太郎は、五年前の戦乱で活躍した敵方の特殊隠密部隊というだけに、彼女に対して勝手に過大な期待を寄せていた。しかし、その実、この目の前に居るフドウバナの何と弱々しい生命力。精気の無い仕草。これではまるで、一般的な並みの女性と変わらない。
いやしかし、それこそ見た目や身のこなしは、他と比較しても最上級である。今現在、ペルゼデール・ネイションの女王に君臨しているマリダ・クラルインと比べても見劣りするものではない。しかし、これが今の元87部隊員の現実の姿なのだ。
「つい俺も調子に乗って、キミとは戦いの契りを交わしたんだが……。俺の勘の狂いが無ければ、キミはそれほど
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