不毛の街②
この列車の乗客は、元銀座駅を越えるまではネイチャーが乗っていても法的に許される。が、それを越えれば強制的に送還されてしまうのだ。それでも抵抗すれば、首都警護警察隊に逮捕されて監獄行きとなってしまう。それが
ミックス以上、アンドロイド未満――
それこそが今の地球に於いての標準指標であり、発言権を得るための土台なのである。
「体の一部を機械に変えてしまうか、丸ごと全部機械に置き換えてしまわないと、伝染病予防や、健康上の理由で世界の資源を圧迫する――。だなんて、ホントよくもそんな無茶苦茶な論理が世界でまかり通ったものね」
クリスティーナは、簡易モジュールで小紋に熱く文字通信を送り続ける。
「仕方ないよ、クリスさん。最近の世の中の人って、資源だとかお金だとか、そういう言葉を持ち出されると、デリケートな問題だと勘違いして同意しちゃうんだもん」
「だからって、何も後先考えないで体を機械に変えちゃうなんておかしいわよ。まあ、あなたを抹殺する目的で簡単に試験段階の
「へへーん。そんなふうにどんなに悪態をついて見せたって、やっぱりバレバレだよう、クリスさん」
「な、何が……?」
「決まってるじゃなーい。デュバラさんとのことだよう。もう、二人は結婚して二年以上が経ってるって言うのに、まだまだ太陽の表面温度と変わらないぐらいいつもアツアツなんだもんなあ」
「な、何よ、やめてよ、小紋さん。こんな地球の一大事前だってのに、変なことで茶化ないでよ!」
「そんなアツアツな旦那さんが、愛する妻を遙か上空から見守ってくれているお陰で、こうして僕たちは何とか危険な任務にありつけるって話ですよーだ」
「そ、それはそうだけど……」
小紋やクリスティーナ。そして元黄金の円月輪の刺客であったデュバラ・デフーらの
しかし、その三年の間に世界の情勢は一変してしまった。ネイチャーたる体に一切手を加えない人々には風当たりが強い世の中になってしまっていた。
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