神々の旗印220
そのショッキングな内容の会議から数日が過ぎた。
あれから分かったことだが、地球からの核攻撃は以前から何度もあったようなのだ。
実は、このヴェルデムンドに根ざす巨大な木々やつる植物らが、地球と思しき場所から飛んできた核ミサイルの攻撃から地上を守る役目をしていたらしいのだ。
それが分かったのは、あの二人が暴れまわり変わり果てた場所以外では核ミサイルの被害を受けていないこと。そして、各地で何基もの不発の核ミサイルが巨大つる植物に絡まって見つかった事などから推測されたのだ。
「そうか、そう言うことだったのか……。地球側に居る鈴木源太郎博士を名乗る人物は、初めからこの植物たちが邪魔だったんだ。だから、勇斗や早雲ちゃんにあんな力を……」
正太郎は女王専用車両にある整備作業室の片隅で苦虫を噛み潰していた。
将を射んと欲すれば先ず馬を射よ――
昔の人はよく言ったものである。相手方は、この世界の植物に地上の秩序や自然体系を守ろうとするシステムが組み込まれていることを知っていた。そして、表面的には肉食系植物が
「それを内部から破壊するために奴らに何らかの細工をして、その心中までも
勇斗と早雲が途轍もない力を誇示して暴れまわったお陰で、その自然の核シェルターが丸裸にされてしまったのである。
元々このヴェルデムンドという世界は、人類にとって有益な資源確保が出来る魅力的な場所であった。
それは水や食料という物だけでなく、各地から採掘される原油や鉱石、さらにはゲッスンライトに代表される地球では見られないレアメタルの類いも活用できるのである。
それだけを考えれば、この世界は人類にとって楽園であることは間違いない。にもかかわらず、この世界の死亡率は大戦中の近代とそう変わらない。
「あのヴェルデムンドの戦乱前には、この野蛮な秩序に嫌気がさして地球に帰っちまった連中が後を絶たなかった。そして時を待たずしてあの戦乱があった。これは何か変だぜ……。人類にとって楽園になるはずの世界が、どうして生き地獄みてえな場所に生まれ変わっちまったのかってことだ……」
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