神々の旗印184



「イーアンとマーキュリーは、その言葉通り、あっしらをかばって自爆したんでゲスよ……」

「じ、自爆……? え、えええっ……!?」

 烈太郎は言葉を詰まらせた。彼のアバターもまるでフリーズしてしまったかのように動かない。

 そこで正太郎が言葉をはさむと、

「おい、烈! 驚いている場合じゃねえぞ、落ち込んでなんかいる場合じゃねえぞ! お前のこったから機械のくせに、おセンチモードに浸りたくって涙の一粒でも流したいところだろうが、そんな暇は俺たちに残されちゃいねえ。いいか、今から俺の言うことを良く聞け!」

「あ、兄貴……」

「いいか? 俺たちはな、これから地球に向かう。いや、まだ具体的な手立てはどこにもありゃしねえがな。しかしよ、現実には絶対に行かなくちゃならねえんだ。ほら、お前も見ただろう? この赤い巨人に特攻を掛けた時に見た空の向こうの東京の姿をよ。てえことは、この一連のバカ騒ぎの要因の一つに、このヴェルムンドと地球との間に何らかの因果関係があるってこった。俺たちはそれを何が何でも探りに行かなくちゃならねえんだ」

「えっ、えっ? だ、だって、こんな非常時に地球に帰るだなんて……。どうすれば帰れるっていうの、兄貴?」

「何か手立てがあるはずだ。なにせ、核ミサイルはあっちからこっちまで飛んで来ているんだからな」

「理論上は可能ってこと……?」

「ああ、そういうこった。そうでなければ、こうも簡単に物体が同一のエネルギーで地球からヴェルムンドまでやって来るわけがねえだろ?」

「ああ、そういうことか。もし、何らかの瞬間移動装置とか亜空間トンネルなんかを使ったのであれば、わざわざ飛翔体で攻撃を仕掛けて来る必要なんてないもんね」

「ああ、それじゃ無駄な労力もいいところだからな。それによ……」

「それに?」

「ああ、それにな。こうもやっこさんたちのミサイルがピンポイントで狙いが定まらねえってことはだな、当てずっぽうもいいところなんだ。ていうか、当てずっぽうでしかこっちの世界を攻撃できない理由があるってこった。それだけあちら側の状況が切迫しているってこった」

「ということは? どういうこと、兄貴ぃ?」

「まあ、ということはだな。おそらく地球あちらさんは、このヴェルデムンド全体を何とか滅ぼさねえといけねえ理由があると見て良いな」

「な、なんだって!?」

 一同は一斉に大声を上げた。

「で、でもさ、兄貴……。その理由って何なの? 一体その原因て何なの?」 

「だからな、それを調べに行くんだよ、俺とお前の二人で」

「二人だけで? だって、マド兄ぃとエセ兄ぃは?」

「こいつらにはこいつらなりのやる事があるんだよ。なあ、マドセード、エセンシス?」

「あ、ああ……。悪いな、烈の字」

「ごめんよ、烈太郎くん。おいらたちも付いて行きたいのは山々なのだすけど……」



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