神々の旗印115
烈風七型は、スラスターの爆音を上げ突進した。先ずは敵機を一つでも斬り墜とし、正太郎の掲げた憶測を白日の下に事実として認識したい為だ。
「兄貴!! 二時の方向から右胸部のみの温度を確認! 三時方向から来るのは左大腿部! 五時方向は右足の膝小僧だけ! えーと、それとそれと……」
「俺に気を遣うな、烈!! お前は確認出来た物をこの俺に片っ端から伝えればいいんだ!」
正太郎は、烈太郎に指示された通りに烈風七型のレーザーソードを間髪入れず突き立てる。すると、彼の突き立てた刃は正確無比な狙いで赤いフェイズウォーカーの実体部分に次々とヒットして行った。
「行ける! 行けるね、兄貴! 種さえ分かっちゃえば、こんな手品染みた仕掛けなんて、てんでへっちゃらだね!」
「応よ! たかが外連味仕立ての見掛け倒しに、この俺たちが引っ掛かったりするものかよ! さあ、どんどん行くぜ!」
正太郎は言うや、もう一方の手にもレーザーソードを構えると、今度は二刀流で相対した。
所詮は、赤いフェイズウォーカーの仕掛けて来た攻撃は実体のない心理作戦である。彼らにとってこんな物は、行きつくところハッタリにしか過ぎない。
敵は、あの大柄で不気味な色をした機体を縦横無尽に駆けずり回し、彼らの機体を取り囲むように射撃武器を撃ち込んでくる。しかし、その実態は確認できている物の中に実弾が数発。それ以外は赤いフェイズウォーカーが起こしたダミー映像なのである。
「いいか、烈! 混乱を避けるために、お前はこの先も実体の在りかを俺に伝えるだけで良い! それ以外は全てこの世界に在りやしねえ偽りの何かだ!!」
「アイアイサーだよ、兄貴! オイラ、段々とコツがつかめて来た!」
「ああ、そりゃあ俺も同じことよ!」
彼らは、相変わらず息の合った連携で次々と赤いフェイズウォーカーの実体部分を切り裂いて行く。そして、その数が約半数を超えた時に、
「ね、ねえ、兄貴! 何だかおかしいよ! オイラのセンサーに、とても有り得ない反応が出始めた!」
「有り得ない反応だと!? 一体何だそりゃあ!?」
「え、えっとね。今まで倒した敵の実体部分が、また復活して攻撃を仕掛けて来てるみたい……!!」
「ああっ!? そりゃあどういう意味だ!?」
「だ、だから! あの赤いフェイズウォーカーの実体部分が、次々と増殖しているみたいなんだよ!!」
「な、なんだって!?」
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