神々の旗印54
正太郎は、その決意によって選出した
彼は、頼りなさげなジェリーの姿の男を自分の目の前に立たせ、
「おい、ユー坊!! ダラダラすんな! シャキッとしろ!!」
厳しい眼差しで彼を叱責した。
「ユ、ユーボウ?」
「そうだ、お前はまだ一人前の男じゃねえ。だからユートと坊やを合わせてユー坊だ。なにせ、まだ彼女と違って見習い二等兵扱いだからな」
彼女とは、先日無茶苦茶な戦功を上げた早雲二等兵のことである。
「う……!!」
勇斗もそれを心の奥底から気にしている。
「いいか、ユー坊。これからお前は、俺たちと一緒にとある作戦行動に出る」
「お、俺がですか!?」
「そうだ。イーアンのあの状態じゃあ、とてもここ二日以内に実戦に駆り出すわけにはいかねえからな。かと言って、このパイロット不足のご時世だ。お前のような半端者でも猫の手も借りてえって寸法よう。つまり、今までの出たとこ任せなお前の腕前だけじゃあ、この作戦は遂行し切れねえ」
「し、しかし……少佐!! 羽間少佐!! お、俺は……」
「いちいち
「そ、それはそうなのですけど……」
「んったくテメエって奴は!! テメエは、自分の身体を取り戻してえんだろ? そしてあの娘と別の女兵士の居場所を探りに行きてえんだろ? いくらあん時の俺の脅しがトラウマになっちまったからと言って、それを言い訳にしてこれから生きて行くことなんて出来やしねえんだぜ!? ここはヴェルデムンドだ!! 絵に描いたような野蛮な世界だ! 俺たちの
正太郎は、勇斗に言葉を隙入れるタイミングを与えなかった。彼としては、何としてでも勇斗を一人前の男に育て上げたかったからだ。それが彼にとっての役割であり、今まで散々世話になって来た人々への報いであると感じる様になってきたからだ。
「ほら、ボサっとしてんじゃねえ!! 早く戦闘服に着替えるんだ!! 敵はテメエの都合なんて考えてくれやしねえぞ!?」
今は一分一秒でも時間が惜しい。そんな正太郎の心の叫びが、厳しい言葉となって彼の心を駆り立てる。
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