神々の旗印㊶
その瞬間――、
「うおあーっ!!」
イーアンの目の前に閃光が広がった。と同時に、猛烈な爆炎が吹き上がり、凄まじい爆音と共に放射状の光が辺り一帯に舞い散ったのである。
案の定、イーアンのどでかい体躯はその力の源にものの見事に吹き飛ばされた。そして彼の身体は、冷たく硬い訓練場の床に否応なく叩きつけられる。
「うぐぅ!!」
彼は腰の辺りから尋常ではない勢いで叩きつけられ、まるで弱り切ったバネのようにへの字くの字に何度も跳ね返って訓練場の囲い壁でようやく止まる。そしてぐったりと力なく突っ伏す。
「イ、イーアン!!」
それを遠目で窺っていた正太郎は絶叫した。彼は居てもたってもどうにも溜まらずに訓練場の中心部へと矢のように飛び出してゆく。
「あ、兄貴ぃ!!」
烈太郎の止める言葉に耳をも貸さず、正太郎はパイロットたちの亡骸を乗り越えて腰のレーザーソードを全開にする。そして、
「て、てめえ!! よくも俺の仲間を!!」
彼は完全に頭に血が上っていた。もう普段の行動からは考えられぬほど理性を保てていなかった。
朱塗りのフェイズウォーカーは片腕を失ったものの、その動きは何ら非道な鬼神と変わらぬ。向かい討って来た正太郎の気配に一早く気づくや、辺りに散らばる死体の山をゴミとも思わぬ勢いで蹴散らせながら、
「キサマラ……ニンゲンドモニ……ミライナド、ナイ」
と冷え切った言葉を吐き出して片腕の機銃を撃ち出して来る。
「グッ……!! こんなもの……!!」
正太郎は言ったものの、さすがに30ミリの弾丸を連続でぶちかまして来られれば一溜りもない。彼は
この行為が無謀なのは何より承知。しかし、こうでもしなければ、戦闘不能の烈太郎はおろか瀕死のイーアンすら守り通すことは出来ない。まだ息のある他のパイロットたちを救うことは出来ない。
「しかし俺が囮を買って出た以上は必ず完遂してやる……!!」
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