神々の旗印③


 ※※※


「おい、烈!! ここだ、このタイミングだ! 即時に照準をあのとんでもねえあん畜生に合わせるんだ! そして合わせたと同時にレールキャノン発射だ!!」

「アイアイサーだよ、兄貴!! 照準合わせオーケー!! 憎いあん畜生にレールキャノン発射-っ!!」

 烈風七型――烈太郎は、正太郎の号令とともに高速ホバー走行を止め、即座にひざ元から固定治具をせり出させる。と、それを不安定な地面に突き刺し、あらかじめ準備段階に入っていたレールキャノンのエネルギーを瞬時に開放させたのだ。

 そこに携えられた弾頭は強い稲光にも似た電磁波に包まれながら、乾いた爆音と共に凄まじい勢いで射出される。

 射出された弾頭は、いかな動体視力を持つ羽間正太郎でさえも目で追うことは不可能。転じて言えば、生身の生物の能力では到底回避不能である。言わば、彼らに狙い撃ちされてしまえば、肉食系植物ですら成す術もないと言うことだ。

 レールキャノンの照準の先は、侵攻する肉食系植物勢力の核となる存在だった。軍隊で例えるならば、敵勢力の指揮官に相当するものである。

 さらにマッハ7相当で放たれた弾頭は加速を増し、ノイマンブリッジの空を黒々と覆うヴェロンの群れへと飛び放って行った。

 しかし今回は、拡散弾頭を使用し、大量のヴェロンを一気に殲滅しようとするものではない。先程照準に入れた中核となる存在のみを狙うものである。

(こいつらは、一歩一歩確実に知能を進化させてきていやがる……。それは、今回の侵攻の有り様をじっくり鑑みて見れば解かる現状だ。てえことはよ、その戦略の核となる一匹を特定して叩けば、いかに数で攻めてきたとしても陣形が崩れる要因が見えて来るってもんだぜ……)

 正太郎は、この同時多発的な侵攻が巻き起こった時、あのブラフマデージャでの一件を思い出していた。そして彼は、あの一件以来、まざまざと進化を遂げている肉食系植物たちに脅威を感じていた。

 しかし、それとは真逆に、彼らの進化の裏に、ある程度のもろさも感じ取っていた。それが、

「いいか烈! 奴らは進化したと同時に、ある程度の戦略性と感情が芽生え始めたんだ。てえことはよ、俺たちの役目はただ一つ!」

「分かっているさ、兄貴! オイラたちの役目は、を折良いってことだよね!?」





 

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