虹色の人類105
「五次元人だと!?」
「そうだ。我々は、貴様らの解釈や理解で言うところの五次元人という言い表し方が出来る。実のところ、我々は我々であって、そういう認識で暮らしてはおらんがな」
「なんだと? それはどういう……」
大膳にはさっぱり意味が解からない。
「どういうも何も、それ以外に言葉に表しようがない。なにしろ我々は、貴様らの次元の人間ではないのだ。それは貴様らの世界で言う概念も観念も全く通じない場所にいる生命体だからだ。だが、我々は貴様らの心身をこの身に複製することに因ってそれらの概念を得られるようになった。それ以外に何も言い様がない」
「……だから。だから、私たちに姿を複製することに因って意思が疎通できるようになったとでも?」
「まあ、そういうことだ。例えるならば、我々は貴様らの世界で言うところのチェスや将棋を指しているゲームプレイヤーのようなもので、貴様らのこの世界は、我々の作り出したゲーム盤のようなものだからな」
「な、なんだと!? この世界がゲーム盤で、貴様らはゲームプレイヤーだと!? 嘗めているのか貴様!!」
「ふん、嘗めてなどおらんよ。ただありのままの事実を貴様らの理解出来る物証に例えて申し伝えているだけだ。それ以上でもそれ以下でもない。我々五次元人は根が真っ直ぐな故、貴様ら第六世代人類のように、わざわざ手間のかかる嘘を並び立てる必要などもない」
「クッ……」
大膳は返しきれず言葉を失った。この目の前の虹色の人類とやらは、一体何を言わんとしているのか。なぜこんなこと言い始めたのか。全く理解の範疇を超えている。
「し、しかし……、貴様。なぜ私をこんな所まで連れてきた? まさか、そんな意味不明な戯言をこの私に言うだけの為に、このようなまどろっこしいことをしているのではないだろうな?」
「無論だ、第六世代人類、鳴子沢大膳よ。私は、貴様らの言う虹色の人類として、いや、貴様らの世界をシミュレートする高次元人として、そんなつまらないことの為にここに貴様を連れてきたのではない」
「で、では……、では何なのだ!? 何だと言うのだ? ここに私を連れてきた理由……」
「焦るでない。その秘密を追い求めてきた貴様の
「光景だと……?」
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