地味にひどいこと言いますね
ルカは、慌てて立ち上がり――くらりと、
「バカ、何やってんだ」
力強く受け止めたのはリツの細腕で、ルカはますます血の気が引いた。
「す、すみま――」
「ルカ。自分の体調は
「――はい」
厳しい言葉の後に続いた
それを見届け、リツは近くの木に寄りかかる。座るつもりはないようだ。
「ルカ、ソウヤ。対象は見たか?」
「リッさんは?」
「質問に質問で返すなよ、ヤな奴だな。知ってっけど」
「うわ、地味にひどいこと言いますね」
「ホントのことだろ」
「まあね」
掛け合い状態の二人のやり取りを聞きながら、ルカは懸命に記憶を
まず、今回駆り出されているのは第八隊、南部担当部隊の加勢だ。封鎖に一班、実働に一班を
第十一隊を除き、各隊は更に十人前後の班に分かれている。
活動の最小単位は班になるが、各班いくつかの仕事を並行で抱えているのが普通で、間が悪ければ、ほんの数人で対処することになる。
今回がまさにそれで、二班合同ではあるが、封鎖に四人、実働に五人といささか頼りない。
そのために第十一隊が呼ばれたのだが、実のところ、第八隊の面々の反応はよくなかった。
かくして、第十一隊に割り振られた仕事は、対象以外の妖異を抑えるという、あまり必要のないはずのものだった。
妖異自体は、実はあちこちにあふれている。
妖異は無機物・有機物問わず寄生する「モノ」であり、寄生物との拒絶反応が未知の力を生み出す。
それがほぼ無害であったり規模が小さければ問題にならない。妖異の寄生物を、逸品として珍重する向きがあるほどだ。
しかし中には、寄生主と妖異が影響し合い、人の生死に関わる暴走を起こすことがある。
その時に対処するのが兵団であり、封鎖は、妖異をその場から離脱させず、力もある程度なら抑制できる。
つまり、害を
よって第十一隊は封鎖空間内にはいるものの、対象の妖異には近付くこともできず、全くの
今回の規模ならまず出番はないなと、三人とも、半ばルカの訓練の延長のようなつもりでいた。
もちろん、だからといって第八隊との連絡を怠るようなことはなかった。あくまで、第十一隊は第八隊の協力者なのだ。
そんな中で――ルカは、羽音を聞いた。
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