第55話 リアル脱出ゲーム⑩~黒いタブレット、そして終焉
俺は解答用紙を持ってスタッフのテーブルに走った。そしてスタッフから黒い鞄を受け取ると再び走って戻っていた。
黒い鞄を開けると、黒いタブレットと『解除できたらキーワードを書いてスタッフのテーブルへ持って行け』と書かれた銀色の1枚の紙が入っていた。
「拓真、今度こそ最後だろうな?」
「わからん、だが、もうすぐ名古屋なのは間違いないから急ごうぜ」
真っ黒になっている画面に触ると、画面が明るくなり、そこには全部で24枚の写真が貼られていて、一番下には『座席に座って2つ選べ』と書かれていた。
一番の上の左から
『
『
『
ここまでの12枚は生き物だ。
『パトカー』『子供用の三輪車』『消防車』『
『オープンカー』『観光バス』『ベビーカー』『自転車』
『馬車』『ヨット』『白バイ』『豪華客船』
次の12枚は、形の違いはあるけど何らかの乗り物だ
『♪♪~まもなく名古屋です。東海道線、中央線、関西線と、名鉄線、近鉄線、あおなみ線、地下鉄線はお乗り換えです。今日も新幹線をご利用くださいまして、ありがとうございました。名古屋を出ますと、次は京都に止まります。ladies and gentlemen・・・』
「たっくん、もうすぐ名古屋だよ!多分、あと2、3分しかないよ」
「唯さん、落ち着きなさい!」
「拓真先輩、座席に座ってとはどういう意味なんですか?」
「さあ、わからん・・・とりあえず俺も座って考えるぞ」
「ねえ泰介、もしかして、座席に座って考えろという意味じゃあなくて、座席に何かの法則があるって意味じゃあないかなあ?」
「それだ!泰介、今までのステージで使った座席の一覧、それと座席表を見せてくれ」
「ああ、いいぞ」
泰介は、今までのステージで使われた座席の一覧と、それと『のぞみ号』の座席表(使われた座席には蛍光ペンで印が入っていた)を並べた。
最初 1号車 2番 B席
2問目 1号車 3番 E席
3問目 2号車 5番 E席
4問目 3号車 7番 D席
5問目 5号車 11番 E席
6問目 8号車 13番 A席
7問目 13号車 17番 D席
「!!!分かった!拓真先輩、答えは『蜂』と『霊柩車』です!」
「え?何で『蜂』と『霊柩車』なんだ?」
「上から順番に座席のアルファベットを読めば、最初が『BEE』、つまり蜂です!次が『DEAD』、つまり、死んだという意味だから、死に関係する乗り物は霊柩車しかありません!」
「分かった。時間がないからもうやるぞ」
俺は蜂と霊柩車をタッチすると写真の枠の色が赤色に変わった。そして右下にある『OK』の所を触れた。
そうしたら『正解です』の表示と共に画面が変わった。
画面はスロットマシンに変わった。3桁の各々の数字がほぼ0.5秒間隔くらいの速度で動いていて、各桁の数字の下には『ストップ』『リスタート』と書かれた所があり、右に『OK』という文字あった。
そしてスロットマシンの下の方に『一二三君、暗証番号の数字の所でスロットを止めたまえ。最初はノーヒントだ』と書かれていた。
「舞、暗証番号は分かるか?」
「えー!ちょっと待ってくださいよお。でもノーヒントってどういう意味なんですか?」
「拓真君、法則通りなら、次は21号車19番だけど、21号車はないわ」
「もしかして21×19=399だから399なのか?だが、そうなると座席の意味がない。どういう意味だ?」
「拓真、もう時間が無いから、取りあえず399でスロットを止めるんだ!」
「ああ、やってみよう」
俺は百の位を3、十の位と一の位を9で止め、『OK』を押した。だが
『ハズレだ。仕方ないなあ、ヒントをやろう。あー、でも僕はもう君に答えを教えているから駄目だなあ。さあ、2回目だ』
「はあ?ちょ、ちょっとー、『地獄の奇術師』って、ふざけた事しか言えないの!マジでムカツク!!」
「唯さん、落ち着いて!冷静に考えましょう!」
「拓真先輩!地獄の奇術師はICレコーダーに金田一一二三君へのメッセージを残しています。多分その中にヒントがあるという意味だと思います!!」
「分かった。泰介、ICレコーダーの声明文を紙に書いた物があった筈だ。それを出してくれ!」
「ああ、いいぞ」
七『ひふみちゃん!名古屋駅のホームに入ったわ。もうすぐ止まるわよ!まだなの?』
久しぶりだね、金田一一二三君。新幹線の旅は退屈だろ?今日は君たちの為に素晴らしいのイベントを用意したから、存分に楽しんでくれ。
さて、そんな事より一二三君、君は暗証番号を入力する為のタブレットを探しているのだろ?でも簡単に教える訳にはいかないなあ。だから僕は一二三君に謎解きをしてもらおうと思う。
もし君が僕の見込み通りの人間なら、見事に爆弾の解除に成功するだろう。だが、君が見込み通りの人間でなかった場合、他の乗客と共に単なる肉片に早変わりするだろう。まあ、名古屋の直前で止めれば助かるけどな。あ、そうかあ、のぞみ号を名古屋駅にダイヤ通りに止めなかったら即座に爆発するんだったなあ、ゴメンゴメン。
じゃあ、次の指示は写真の謎を解いた先にあるから、君の実力を見せてもらうぞ。
さあ、急ぎたまえ。
時間的にみて、これが最後のチャンスだ。これで分からなければ、もう終わりだ。みんなこの文書を読んでるが、誰も声を上げない。
だが、俺は文書の「ある場所」で、地獄の奇術師が変な事を言っている事に気付いた。
「そうか、わかったぞ!だからこの答えは・・・」
俺は百の位、十の位、一の位の数字を止めた。だが、時間的にみてこれが最後のチャンスだ!
『おめでとうございます。爆発は回避されました。次の文字を解答用紙に書いてスタッフに提出したら最終ステージクリアとなります』
“ぼくはどこにいる?”
「やったあ!」
「おめでとう、拓真君!」
「いや、まだだ。早く答えを書いて持って行かないとタイムオーバーで失格だ」
俺は素早くこの『ぼくはどこにいる?』という文字を解答用紙に書き、走り出した。
だが、走り出して、ステージの前あたりに差し掛かった時に
『ドッカーーーン!!』
大きな爆発音がして、同時にスクリーンに何かが飛び散るような映像が映し出された。つまり、爆弾が爆発した効果音と絵が映しだされていたのだ。
俺は間に合わなかった・・・。
この音を聞いた瞬間、俺は走るのをやめ茫然とスクリーンを見つめた。会場にいた多くのチームも「うわー」とか「キャー」「あー」「えー」とか一斉に叫んだ。つまり、爆弾の解除ができなかったんだ。
やがて会場内の照明が全て点灯され、ゲームが始まる前の明るさにまで戻った。
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