第24話 後 ゴーレム

まだ出るの? 反応の薬の効果もう切ってるよ。


「カイル兄さん、依頼、何匹…」

「10匹だけど、見つけたら可能な限り倒そうと言われてるんだ。水を汚染して新首都の人達を寄生するから」


どうしよう? 先みたいな戦い方はもう出来ない。反応の薬は一回寝る前にもう一瓶飲んでも効果があんまり出ないし、気絶する可能性もある。


他にダメージを与える方法は…ワンド? ダメ、女神の盾三つ入ってるし、書き換えは五分も掛かる。どうしよう…試しにこれを使ってみようか。


召喚獣になる最低限の条件は人間と意思疎通できること。つまり、召喚獣は基本的に召喚師の思うままに動く。


この魔法石を地面にセット。そして、地面が隆起し、人? の形をした、ゴーレムが地面から出てきた。


「これが、ケイリの召喚獣?」

「違う」


人造ゴーレム、それは昔、召喚師に嫉妬した魔法使いが、ゴーレムを研究して生み出した魔法アイテム。渓流の石でできた巨人の高さはおよそ二メートル。一週分の魔力で満タンまで入れたのにたったの二メートル。本によると、三メートルくらいあるはずなんだけど。やはり砂や土より、小石の方がより多く魔力を消費するのか。


うん? よくよく考えてみると、ゴーレムって、蛭の天敵なんじゃないの? だって、無機物だから血もないし、吸われても死なない。


人造ゴーレムはカテゴリー4と同等くらいの実力がある。魔力だけで動かせるし、便利と言ったら便利かもしれない。それでも人造ゴーレムを使う人はあんまりいない。どうしてかというと、プログラミングが難しい! 今人造ゴーレムに出せる指示は攻撃と魔法石に戻るだけ。しかも、攻撃対象が決められない。魔法石に魔力を注いだ私以外の生き物を見境なく攻撃する。


「カイル兄さん、下がって! ゴーレム、敵味方の区別、つかないから」

「え? じゃあみんな下がって、ケイリの召喚獣に任せよう。メアリーは詠唱続けろ」


カイル兄さん、だから、これは召喚獣じゃないから。


ゴーレムは拳を振り落とし、蛭を1匹残さずペチャンコにした。魔力が切る前に全部倒して本当に良かった。


「ケイリの召喚獣すげえよ!」

「こんなに強い召喚獣を召喚出来るならもっと早く出せばいいのに。必死に戦った私達がバカみたいじゃない」

「終わったの? 詠唱やめていいの?」

「いいよ。ケイリ、よくやった!」

「えっと、カイル兄さん、ゴーレムは、召喚獣じゃ、ない」

「え?」

「魔法石、なんだけど…」


カイル兄さんは優しい微笑みをして、私の頭を撫でてくれた。


「そうか。これがケイリがこの一年間頑張った成果か」

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