アミメキリンと謎のヒト

第36話 早く寝ないとじゅるり様が来る

※昨日は投稿できず申し訳ありませんでした。今回のお話は実はボス暴走編の前に挟む予定だったので、プロット修正に苦戦しておりました。でももう大丈夫！

今回はパフィンちゃんファンごめんなさい回です。私は美味しそうにお菓子を食べるパフィンちゃんが大好きなのです、ただ話の内容上彼女が必要だったのです……

　突如博士と助手の前に現れた巨大二郎系ラーメン。スープや背油、ニンニクの類いはレシピ通りに入れたが、野菜の量がマシマシこうざんちほーである。

　この野菜の量はプロのジロリアンでも容易には完食出来ない。

　数枚載せられた豚(チャーシュー)をジャパリカフェの如く休憩に使い、ペース配分に気を付け完食を目指さなければならない。

ﾔｻｲﾀﾞﾗｹﾃﾞｱｷﾀﾃﾞｼｮｰ?　ﾌﾞﾀﾃﾞﾓﾀﾍﾞﾃ、ﾕｯｸﾘｼﾃｯﾃｰ↑

　そして当然博士達は二郎を知らない。理解出来ない料理が来たときの反応は……

「何ですかこれはー！？」

「食べて大丈夫なのですかぁ！？」

　公式は博士と助手にカレーを食べさせたせいで、全国のけもフレファンに二人が慌てたり、辛ーい！と苦悶の表情を見せる様子を提供してしまった。新たな世界が開いたらどうするつもりだったのか……

　それはともかく、博士達に問われてもつなぎの表情は余裕を崩さない。

「その昔、ヒトはこぞってこのラーメンを食べたようです。シンプルな中華そばから始まり、最終的にこの様な姿にまで進化し人々を夢中にし続けた、究極の、そして禁断のラーメンであるとも書かれていました」

　つなぎちゃんは良い子なので割と雑誌の謳い文句とか信じちゃうのです。かつての記憶とか持ってるはずなのに……

「禁断の、ラーメン……」

「しかしそもそも麺が見えないのですが……」

「野菜の下にあります。早く食べないと麺が伸びてボリュームがどんどん増えますよ！　二倍！　三倍！！」

「ええっ、マズイのです！　これ以上増えたらやばいです！」

「いただきますですよ！」

　急いで食べ始める二人。ラーメンに関しては食べたことがあったため、どうやって食べるかという戸惑いは無い。まずはスープを一口。

「……しょっぱーい！」

「脂っぽいのです！」

　たくさんの野菜で薄くなること前提で、濃い味仕上げなのでスープだけ飲んだらそりゃしょっぱい。

　二郎のスープはいわばつけ汁、いや飲むことも出きるのでスープだけどつけ汁……いや脂の旨みもあるから─────

　描写カット！！　

「何故か……止まらないのです！　病みつきなのです！」

「すみません私はあまり……」

　博士ははまってしまった様で、完食していた。助手は口に合わなかったようだ。極端な味付けのものなので、まま有ることである。

「残したら勿体無いのです、私が頂くのです！」

「あっ博士……」

　助手の分まで全て平らげる博士。吸引力の変わらない、ただ一人のフレンズ。　

「ま、まぁ食べられなかったフレンズ用にこんなのも用意してますので」

　そう言ってつなぎがカートの下から出したのは、ミディアムレアのステーキであった。食べる直前に振りかける、たっぷり胡椒が味の決め手。何の脈略もなくいきなり出てくるステーキ……

「やはりお肉は美味しいですね」ﾅﾎﾟ…

　疑問も持たず口にする。助手もお腹が膨れてご満悦であった。

　二人が食べ終わった頃合いを見て、アミメキリンが口を開く。

「一段落ついた所で、色々報告したいんだけど……」

「聞きたいのは山々ですが……」

「すみませんが今日は休ませて欲しいのです、我々も疲れているのです……」

「そ、そうよねじゃあまた明日くるわ」

「ゆっくり休んで下さいね、あ、これ黒ウーロンです」

　結局、アミメキリン達のみずべちほー行きは延期されることになった。博士は黒ウーロンを飲んで、その苦さにシュッと細くなっていた。

　その夜、つなぎはジャパリまんマシュマロ味を再度用意して焚き火で焼いてみた。焦げた。

としょかん

「zzz」

「………………」ﾑｸﾘ

そして翌日

「何とか博士達には先を急いでいることをわかって欲しい所ね」

「僕は多少遅れても構わないのですが……」

　二人は昨日とかわらずとしょかんを訪れる。相変わらず本は散らかったまま、昨日は片付けせず休んだようだ。

「また来たわよー！　いないのー？」

　アミメキリンは、昨日のように地下室にこもっていることも考慮して、かなり大きめの声で呼び掛ける。

　が、返ってくる声は無い。

「残念だったな、二人共。昨日の夜中から行方が分からないんだ」

　としょかんの入口から声をかけられ、振り返る。そこには、ヒグマが立っていた。

「博士達だけじゃない、昨日の夜から何人か行方不明なんだ」

「また何か事件かしら？」

「分からん……ただ、昨日の夜、森で悲鳴が聞こえたことと、巨大な何かが目撃されてるんだ。連絡を受けて探してみたが、手掛かりは得られなかった……」

　つなぎとアミメキリンは顔を合わせた。今このちほーではラッキービーストによる巡回が強化されている。セルリアンによる犯行とは思いづらい。つまり……

「フレンズのいたずら？」

「……かもしれませんね」

　その後、アミメキリン達はヒグマの話を元に聞き込みをしたが、やはり有力な情報は得られなかった。

　そうなったら仕方がない。証拠が無いときの常套手段、無いなら作れば良い、夜の森林突入作戦の開始である。

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　てちてちてちてち

「ふっふっふっ……　博士達が美味しいおやつを隠している事をパフィンちゃんは知っています！　ちょっとだけ、分けてもらいに行きますー！」

　深夜にとしょかんに忍び込む影があった。

　あれは誰だ！？　ニシツメドリか！？　いや、あれはパフィンだ！

　博士達が不在だという噂を受けて、博士達のとっておきのおやつをちょっとつまみ食いに来たのだ、ちょっと、ちょっとだけ。

　慣れた様子で食料保管庫に向かい、迷いもなくポテチがまとまっている場所へたどり着く。

「たまにはのり塩を食べよ♪コンソメパンチわしづかもう♪飛びっきりの辛いカラムー●ョは、少な目にして♪」

　二人が居ないことを良いことに、僕のチップス(作詞　いもはん)を歌いながら棚を漁るパフィンちゃん。

「あった！　季節限定味！　さっそく、いただきま～……」

　ポテチを開け、つかんで食べようと手を口に持っていった時、背後から巨大な影が差した。

「悪い子、見付けたのです。じゅるり……」

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「さあ行くわよつなぎ、とっととこんな事件解決して貴方のルーツ探しの旅へ戻りましょう！」

「おやつ良し、地図良し、昼間の内にとしょかんから持ってきた懐中電灯良し、探索に飽きた時のBGM良し！」

　何故か手に持っていたラジカセのスイッチオン！

ﾏｯｸﾗﾓｰﾘｰﾊｰ……ﾀﾞﾚﾓｼﾗｰﾅｰｲｰ……ｱｻｰｶﾗｰｽﾞｯﾄｰﾏｯｸﾗｸﾗｰｲｸﾗｰｲ…………

「恐いから止めなさい！！」

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「はあっ、はあっ……」

　パフィンちゃんは背後も振り返らず、側にあった窓から逃げ出し森林の中を一心不乱に逃げていた。

「おやつの匂いがするのです……　こってりサクサク、ポテトチップスの良い匂い……じゅるり」

「来ないで……　来ないで……！」

「美味しいおやつで育った子供は、きっと丸々良い子供……じゅるーり、じゅるり……」

「だ、誰か助けて……！」

　パフィンちゃんは木の陰に隠れ、震える。

「近くなのです、じゅるーり、じゅるり……そこにいるです？じゅるーり、じゅるり……」

　ズシン、ズシンと森を揺らす影が、じわりじわりとパフィンちゃんに近づく。

「お願い、お願いです……つまみ食いはもうしません、パフィンちゃん良い子になります！　許してくださーい！」ｳﾜｧｰﾝ

　何に対してかも分からず、必死に祈る。森の木々のざわめきが強くなり、響く足音も聞こえなくなる。そして─────

「分かったのです、見付けたのです……そこの木の奥、その……うしろぉっ！！」

　そこには─────開けられたポテトチップスの袋があった。

「……見失ったのです、どこにいったか、じゅるーり、じゅるり、じゅるーり、じゅるり……」

　少しずつ、声が遠ざかっていく。

「良かった、パフィンちゃん助かりました……」

　安心したのか、ほぅ、と一息つく。先程までの木々のざわめきも、止んでいた。

　木々のざわめきが、止んでしまっていた。

がさり

ひょこっ

じゅるーり、じゅるり　み　ー　つ　け　た

「いやああああああああああっっっ！！！」

「ひ、悲鳴がしたわよ今……？　お化け、お化けなの……？」

　アミメキリンはぶるぶる震えている。でも隣のつなぎちゃん、死体からサンドスターでフレンズ化してるからお化けよりも凄い存在。やっべぇ。

「あちらの方です！」

　つなぎはアミメキリンの手を引き現場に向かう。いつもはアミメキリンがつなぎの手を引く構図だが、少しチキンモードに入ってる為逆転してしまっている。

　そうしてたどり着いた先、そこには一枚のポテトチップスの袋が落ちていた。

「誰かがいたのね」

「これは期間限定のしょうゆガーリック味……？」

　つなぎは鼻をひくひくさせる。

「この匂いなら追うことができます、行きますよ！」

　そうして開始された追跡。しかし、それはすぐに終わった。何故なら、としょかんに戻ってきてしまったからであった。