第2話 吸血鬼のつぶやき②

 私はすすんで残業をしている。

 それはもちろん食料を確保するためだ。

 吸血鬼というと最近の映画や小説などの影響で颯爽としたイメージを持つものが多いが、あんなのはごく一握りである。人間社会も芸術家で食べている者は少なく、会社で働いている者の方が多いだろう。それと同じで吸血鬼も実際は人目にかくれてこそこそと血を求めている私のような者が大多数なのである。

 魔法の力も吸血鬼の力と生命も血を飲まないと発揮できないからだ。


 私は血液を保管している部屋に魔法の力で壁をすり抜けて入った。

 中には整然とパックされた血液が並んでいる。

 もちろんこれは暗闇でも見える私の吸血鬼の力があるからこそ見られる景色だ。

 はー。至福である。

 少しずつ、多少減っても気づかれない程度の量を少しずつ摂取していく。

 そう、私のようなサラリーマン吸血鬼の魔法の能力は血を人間から気づかれずに摂取することに使っている…。


 しかしそこで突然大きなビープ音が鳴り響いた。

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