ジュリアスの章

プロローグ

 ずっと、貴女しか見ていなかった。

 ずっと、大人になるのを待っていた。

 貴女の目に映るように、貴女の記憶に焼き付けるように。



 単に照れ隠しでしかなった自分自身の行動が、まさか彼女を傷つけていると思うはずもなく。



 春の日差しのような……穏やかに、そして柔らかく笑う貴女を、この手で抱き締めて自分の胸に閉じ込めたい。


 誰の目に触れさせないように、自分だけを見つめてくれるように。


 地位に群がる者など必要なかった。

 爵位も関係なく、ただ、貴女だけを見てきた。




 それなのに、私の取った行動は……


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