第3話 転生準備

エディが手に持っている端末を操作すると、飛鳥の身体が急速に動き出した

自分の身体だが自分の身体でないような感覚、まるで他人に操作されているような感じだ

それとほぼ同時に身体の一部がモザイクのようにぼやけ出した、それに体感的に物凄いスピードで移動しているのに景色は殆ど変わっていない……なんだか酔いそうだ



「グロ虫、これは何!?」

「グロ虫じゃないよ、エディ!」

「エディ……じゃあ、エド」

「エディを更に略すな!! エルディーナを略してエディってニックネームなんだから!!」

「エド、これは何!!」


明らかに不服そうな顔をするエドだが、反撃しないので諦めたのだろうか黙っている

それを確認するなり、飛鳥は質問を続ける

「身体がバラバラになるくらいのスピードで動いて、しかもなんか身体がモザイクかかってる!! この状況は何!!」

「ワープだよワープ」

「ワープ!? って割には……」

飛鳥の知るワープは空間と空間を繋げる穴を開けて、そこを移動したり

もしくは一瞬のうちに気が付いたら目的地に移動していた……なんてものだ

だけどこれは高速移動、しかもかなり無茶なスピードだ

生身で戦闘機のようなスピードでかっ飛ばしている

「っていうか、ワープ……?は分かるけど、身体にモザイクがかかってるのは!?」

「データの再構築、向こうの世界でも通用するようにね! アンタの世界と向こうの世界は似てるようで全然地下違うからね、空気も土も空も環境も……元のデータのままで行ったら死ぬよ!!」

「なるほど……」



ぽろっ



データ化した腕……のモザイクが取れて空間の彼方へとすっ飛んでいく



「えっ」



腕が無い

欠損した腕から血液が噴き出して、思わず飛鳥が悲鳴をあげる



「わ"ーーーーー!!」

「何? うるさいんだけど」

「う、腕!! 腕が取れた!!」

「腕ぇ? ああ、データの不要な部分がパージされたんだよ。 安心して、生えてくるから」

「生えるって!? 生えるか!! 腕だぞ!!」

「自殺した身のくせに腕の一本や二本で騒がないでよ。 死んでるからもう痛くないでしょ?」

「痛くなくても騒ぐわ!! 腕だぞ!!」



自殺してこれで終わりならともかく、魔王とやらを倒すか天寿を全うするまで生き続けなきゃならないなら大問題だ

腕が無きゃ困る、というか腕無しで魔王とやらを倒せるのだろうか?

なんて必死になっているうちに服が消え去っていくのに気付いた


「わ"ーーーーーーー!!」

「ああ、服ね……その格好だと不自然だから多分文明レベルに合わせた服装がセットされるよ」



ぽろんっ



「あっ」



男の子にはなくてはならないものが一気に取れた

それと同時に下半身から物凄い勢いで血液が噴出すること


「ぎゃあああああぁぁぁぁぁぁ!!」

「騒がない騒がない、生えてくるから」

「わ、わかっ……分かっててもショッキングだわ!!」



遥か遠くにすっ飛んでいく自分の息子を思う飛鳥

新たに息子が股間に生えてくる、そんな経験をする人間はいるだろうか?

そういえば欠損した腕に骨と神経らしきものが新たに生えてきているのが確認できた

ほっとするが、なかなかにグロテスクな光景だと飛鳥は思う



「まぁ、アンタの死体に比べたらまだマシよ」

「僕の死体……?」



そういえば飛び降り死体はテレビドラマのように綺麗な死体にはならないと聞いたのを飛鳥は思い出した

そういえば、仰向けだったのだろうか? それともうつ伏せだったのだろうか?

まぁ、今更見ようとは思わないけれど



べりっ


「あっ」


身体の皮膚……というか皮が剥がれて色々剥き出しになった

なんだかスプラッタホラー映画でたまに見るような感じになった


「もう死体よりマシではないわね」

「勘弁してください」



続く

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