第151話「考察しよう......世界は狙われている! 」
しばらくしてユナがザジ達がいる霊力投資会社のビルへと帰宅する。
ユナがキャンパーの面子が居るレストルームに入ると、今回の紀伊とのやり取りをカンチョウに報告する。
「うむ......ユナちゃんの札には到達しなかったと言うのは驚きだが、紀伊にそんな母札なるモノがあったとは......」
感想をカンチョウが語る、その場にキャンパーの面子は全員が揃ってて、ラマーとドクは作業しながら皆聞いていた。
「はい......そこでなんですが、実はちょっと今回の札の作成者に思い当たる節があって......」
そしてユナの思う確信......つまり札は未来の自分が関係している可能性があると言う結論を述べた。
ねぱたが聞くと神妙な面持ちで語る。
「つまりはユナちゃんが未来、時間を超えて何らかの形でその札を仕込んだわけやんな? 」
「はい、その可能性があると思います」
ねぱたは何かを感じとり、ユナに何かを答えてもらう為に、質問を始めた。
「それはつまり、未来がそうせざる終えなかった何かがあった訳やな、そのヤバい未来って言うのはザジからちょっと聞いたわ」
「もしかしたら、その未来のユナちゃん自身に何かあったから......そうなったんちゃう? 」
「......そうですよね、四十年位先で何かに追い詰められてると言うことなんでしょうか? 」
ユナはねぱたの語る質問に、憶測しか返せない。
だがその憶測には、"ある可能性"が付きまとっていた。
ねぱたの質問の後、カンチョウが語る。
「確か、未来の情景では人が住めない世界だったと聞いたのだが......つまりは人類は皆亡霊か生き霊になり」
「この地下帝国の様なコロニーに住み、霊体の姿で人類の形を存続している訳だね」
ここで記憶を見たフォッカーやザジが会話に参加する。
フォッカーはその記憶を鮮明に覚えていた。
「すげえヤバい事になってたな、成層圏から大量の宇宙線が入ってきて地上が荒野になってたぜ、思うと寒気がする」
ザジも続いて記憶の情景を語る。
「人間の霊体は全て地下の街で、レストルームみたいな霊力を満たした空間で今の俺達みたいな生活をしていたな」
「俺には生きてる人間の霊体ばかりが見えたけど、みんなビクビクしてて......いつ消えてもおかしくない様にも見て取れたよ」
カンチョウはその感想をまとめる、そしてユナに語る。
「その記憶は起こりうる未来だとして、そんなモノを見せるとするならば......うーん」
カンチョウが考察を始める。
ユナがカンチョウのまとめを待っていると、何を思ったか......
割り込んできたラマーが会話に参加してきた。
「よし! ボクがちょっと聞こう、もし君が"過去"に何かを伝える事が出来るならどうする? 」
「仮にこの前の様にFX投資をしていたとして、記憶の情景を送れるとしたら......」
「ある程度の時期で......"ここで買え! "とか"ここで売れ! "とか指示出来ると思うかい? 」
このラマーの質問に、ユナは考える。
そして答える。
「ちょっと難しい......ですね......」
「「 その通り! 動きが解ってても、少しならともかく完璧に利益を重ねるには難しいんだ! 」」
「過去に送れる情報があるとすれば、むしろ......"この値段の相場に手を出すな! "と伝えるべきだろう、それが原因で損益を重ねてズルズルとゼロカットする何てザラだからね」
ラマーはユナに語る、危機管理の重要性。
ユナは改めて未来の情景を見せられた意味を考えて、ある可能性を言葉にして皆に伝えた。
「つまり私は、四十年先であのサテライトが起こす滅亡の影響で死ぬ......と? 」
ユナの答え、キャンパーのクルーはここで沈黙する。
ここでザジが語る。
「人は亡霊になったら最初、誰もが死を回避する事を妄想する......」
「だから、生きているユナは将来、死んで亡霊になった自分が過去に伝えたい事があるとしたなら......」
「 滅亡を回避する手段があるか、滅亡そのものの原因が"見つかった"と言うことじゃないか? 」
「 ......! 」
ザジの言葉がユナに光を見せる、そしてまるで宿命を持った勇者の様な顔で立ち上がって声を上げて言う。
「まさか......」
「「 今の"この時代"と"この状況"で! "打開する事が出来る"と言う事! 」」
希望を持ったユナは立ち上がる!
だが......
「「 いや待って! こんなヌイグルミのクマに取り憑いて何が出来るのおおおお!! 」」
......
正しくその通りである。
カンチョウがタイミング良く語りを入れる。
「うむ! "人類滅亡級"の相手に対し我々戦う"オモチャ亡霊軍団"が立ちはだかったとか、相手に取って不足の極みだ! 」
「相手にしてもらえるビジョンが見えない! 」
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