第79話「憑依玩具戦線、第四幕」
ザジのオーヴァード・エッジの霊力が、揺らぐ程に強固な霊糸の縄。
二依子の作ったボディの蓄積された退魔の力が、この霊糸の縄を溶かす様に斬り込まれていく。
「もう少し......! 」
ザジが霊力を込めると、おおよその霊糸が切り裂かれ。
遂に霊糸の縄がマネキンの自体重に耐えれなくなり、プツンと切れる!
「よし! 小僧、でかしたのじゃ! 」
頭目がそれを確認すると、背後に巨大な飛行物体が現れ!
頭目のヴァリアント・ドーマンを乗せてマネキンに向かって飛ぶ!
「戦艦AWAJISIMA! 攻撃を開始します! 」
戦艦AWAJISIMAの砲塔群が展開されると、他の憑依プレイヤーも合わせて全力攻撃を慣行する!
撃ち込まれる射撃攻撃はマネキンのボディを激しく損壊させる!
「キイイイイイイイイイイ!! 」
マネキンが叫ぶような音を発する!
激しい鳥の鳴き声の様な轟音が鳴り響く!
威圧感が乗ったソレはプレイヤー達を驚かせる!
「怯むな、者共! 攻撃の手を休めるでないぞ! 」
頭目が激を飛ばす!
彼女はマネキンは明らかに船の巨大霊体に関する重要な存在だと確信する。
この反応を見て火を見るより明らかだ。
「トドメだ! 」
縄を切っていたザジが戻り、剣を振りかぶり構える!
霊糸の縄というレールを失ったマネキンは、足や背中からファントムブースターを吹かせて落下を免れようと必死になって飛んでいる様だが......
「飛ぶのに必死になりすぎて、バリアの強度が疎かじゃ! 」
頭目が放ったニードル弾がバリアを抜けて着弾する!
「スナイパーキャノン黒岩水仙砲! 発射! 」
戦艦AWAJISIMAも次々砲撃を撃ち込む!
「ハイ・ファントム......!」
ザジがオーヴァードエッジの一撃を込めようとしたその時!
「うわ!」
背後から巨大な霊体の手が現れて、ザジを掴み!
真っ直ぐ伸びてビルのガラス面に掴んだまま叩きつけたのだ!
「ぐああああ!」
ギシギシとプラモデルのボディが軋む!
バリアで防御が間に合ったが、ガラス面に押さえ付けられる形になり身動きが取れなくなるザジ!
「小僧! 大丈夫か! 早くその"縄"を引き剥がすんじゃ! 」
「 ! 」
ザジを掴み叩きつけたその霊体の手は、霊体の手にしては永続的なもの......
つまり掴んでいるのは手の形になった、先程切断した霊糸の縄だ!
「コイツ、離せ!」
再びギシギシとプラモデルのボディが軋み始める、潰される程ではないが押さえ付ける力がとても強い!
「はっ!! 」
掴み叩きつけた手から巨大な霊力。
縄に伝わって再びガラスの破片を巻き付けた暴刃の竜巻がザジに向けて競り上がってきたのだ!
「うわあああ! 」
ザジのボディは霊体の手に捕まれて逃げられない!
目の前にはコンクリートの壁面も削り取るガラス片の竜巻!
ザジの目には、そのガラス片一つ一つにファントムスラッシュの様な、物理を軟化させる霊力が込められているのがハッキリと見える!
「ハイ・ファントム! リ・エッジ! 」
ザジは咄嗟に周囲に拡散していた自信の霊力を再び再利用し、オーヴァード・エッジの復活を行うと......
「でやああああ! 」
手を回して剣を後ろに突き立てる!
背面には先程巨大な手に叩きつけられたガラス面があり、オーヴァード・エッジがガラス面の強度を軟化させて貫通すると!
一気に亀裂が広がりガラス面が崩壊!
ザジは掴みを抜けてガラス面の向こう側のオフィスフロアに転がった!
「急げ急げ! 」
ザジは飛び交うガラスの破片をモロともせず、ボディが傷つきながらもオフィスフロアの床を這いずり回り。
固そうなデスクの引き出しに隠れると......
追従してきた巨大なガラス片の竜巻が、ザジの隠れるオフィスに直撃する!
「おおおおおおおお! 」
オフィス内が一気に爆弾でも爆発したかのように轟音と爆風が吹き荒れると、吹き飛んだボロボロのデスクが散乱し。
そのデスク内から間一髪で助かったザジがオーヴァード・エッジを振るい、引き出しをくり抜いて出てきた。
「あ、危ねえ......やられるかと思った、畜生......折角二依子が作ったボディが、もうボロボロじゃないか」
ザジがボディの状態をチェックする、既にパーツの細かい欠損やガラス片の傷等が目立つ。
「今の攻撃は船からか! 他の皆は大丈夫なのか? 」
ザジは再びビルの側面に出ると......
そこには船から大量に伸びた霊体の手が縄を伝って暴れていたのである!
神話のヒュドラの如く、縄が一つ、また一つと竜の頭の様に増えて頭目やプレイヤー達に掴みかかり、マネキンに対する攻撃を妨害。
「ぬおおお!なんじゃこの手は! 人の数ではないぞ! 」
幾重にも伸びる縄に付いた巨大な手は、マネキンに掴みかかり再び船へと回収を急がせる!
「不味い! マネキンが船に乗り込むぞ! 」
ザジの叫びに反応するプレイヤー達は居ても、この大量に拡散した縄の手には手を焼いており。
ザジ本人も、霊力の回復が間に合わず動けないで居た。
「ザジ! 援護するぜ! 」
ここで現れたのは大型飛行船ドローン、パルドとユナが入っているレストルーム号だ!
「支援砲撃行きます! 」
クマ姿のユナが砲台に鎮座。ユナ自信の霊力が籠った飛行船備え付けのキャノンが縄の手に撃ち込まれる!
ユナの霊力が霊糸を分解出来ることもあり、縄の手が構成している霊糸を壊していく
「駄目っ! ......これじゃあ、間に合わない! 」
だがマネキンを掴む手は次第に増えており、このままだと乗り込んでしまう。
「うっとおしいのじゃあ! 」
違う場面では戦艦AWAJISIMAと頭目が、縄から発生していた霊体の手に囲まれ、その対応に苦戦していた。
「誰かマネキンに近付ける者は居らんのか? 船に入ったら何が起こるか想像がつかん! 」
「「誰か! 止めるんじゃあ!! 」」
空しく響く頭目の声、しかしここで思わぬ支援が飛んでくる事となる!
******
「何かね?ユナ君、ねぱた君を呼んでどうするのかね?」
場面は決戦前のレストルーム、ここで端末の前で通信しているユナの姿があった。
「ダニエルさんから聞いたんです、遠くのモノに憑依する方法があるって......ただ今に実験出来てないそうでアプリだけが存在しているって」
端末の前のユナは何処からか可動フィギアを持ち出していた。
「これはザジ君の予備のガールプラモデルです」
「そこから、ねぱたさんを"送って"コレに入って貰えませんか? 」
端末の前にねぱたがやって来てその説明に呆然とする。
「ウチをメールみたいにしてそっちに送るん? ってそんなん有りなん? 」
ユナが端末の操作を行うと、キャンパーの端末にメールが届き、URLが転送されていた。
「アプリのリンクが来たわ、ダウンロードしてみるわ......」
ねぱたが恐る恐るダウンロードしたそのアプリケーションは、憑依アプリとは別の製作で作られた代物である。
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