第49話「二依子・マイ・フレンド」
切り込むつもりだった菊名が憑依交代を示唆する。
「不味いわ! 今のボディの霊力量なんかじゃあ、とてもあんな強大な奴等の一発に耐えられない」
「愛華! 緊急チェンジよ! 」
「はっ!はいな!」
アワアワと驚きをながら愛華がボディに憑依してチェンジ完了、ボディの霊力量がMAXになった。
「パンジャンヨーヨー!」
ビックパンジャンロボのプレイヤーがスキルを宣言、控えの四人のプレイヤーがスキルをタップし操作する!
霊糸で繋がれたパンジャンヨーヨーが両腕から飛び出し、ザジと愛華のプラモデルとフィギアのボディに向けて投射!
「おっと!凄い威力だな!」
床上に打ち付けられるヨーヨー、ザジが回避した後にファントムシールドで追撃を受け止めようと画策するが……。
「ザジ君は私が管理するわ!」
そう……背後では二依子が意気揚々とアプリを立ち上げていたのだ。
「二依子!スキルを使うぞ!シールドだ、ファントムシールド!」
ザジの指摘に二依子がスマホを持って操作を開始。
これはザジの様な″スカウト″が暴走しないための処置として、プレイヤー同様にスキルを管理されると言うハンデである。
バトルのルールに添った結果であるのだ。
パンジャンロボのヨーヨーが連続で繰り出され、回避に専念するザジと愛華を捕らえようと迫る。
「ファントムシールド!」
遅れてシールドを使用、間に合ったのかちょうど追い詰められるギリギリの所で攻撃を食い止めた。
ザジの強力なファントムシールドなら、何とか双方のボディの損傷もなく弾き返せる様である……だが。
「二依子?どうした?」
ここで二依子の様子が変だ。
「えっ……何これ?」
二依子が困惑しているのは、スマホに写るスキル構成の画面。
「……ザジ君」
「「これスキル有りすぎよ!ドレがドレだか解らないよ!」」
「「説明早よ!!」」
……これにはザジもズッコケた。
困惑する二依子がアワアワしている。
「以前にザジ君のスキル見た時よりもかなり増えてる!」
「二年前はファントムスラッシュとファントムニードル位しか無かったのにー!」
ちなみにザジのスキルはアプリの解析で出てくるのだが、効果等の表示欄が亡霊故に文字化けを起こして解読不能なのである。
(あああ!どうしよう!これじゃあ、私が一番足手まといだ!)
二依子の大ピンチ!
だがここで二依子の心の叫びが、とある希望の声を呼んだ!
(……)
(二依子さん?二依子さんや?)
(はっ!誰?)
(貴女はまさか……ユナちゃん!?)
声を聞き、感激を露にする二依子。
(ええ、そうです貴女の″心のマイフレンド″ユナです!)
(そんなこともあろうかと思ってもなかったけど、実は貴女のカバンのポッケに入ってスタンバってたのですよ……)
(ワタクシならザジ君のスキル名を聞くだけで完全・網羅!)
二依子はさっそくスキルの質問をする。
(ユナちゃん……お願いこのスキルの説明をよろしく)
(この″ハイ・ファントム・クリスタルシールド″ってどんなスキル?)
(あわ……あわわわわ)
ユナの声が震える。
「「そんなスキル私も知らなーい!」」
「「ザジ君いつの間にそんな新技作ったのー!!」」
聞こえていたらしくザジが突っ込む。
「いや……普通に指摘したスキルをタップしてくれ、頼むから!!」
「「……はい」」
二人はザジに突っ込まれ、二依子はしょんぼりしながら黙々とスキルをタップすることにした。
戦闘はビックパンジャンロボのヨーヨーラッシュを防ぎ切ったザジの反撃が始まった。
「ザジ君何か策は有るの?」
二依子は圧倒的な霊力差を見せつけるイギリス代表に、どう立ち回るか難儀している様子。
「五倍ってたってマトリョーシカ型なのは変わりない、バリアの範囲も狭いから押し通せばダメージは取れる」
そう言うとザジがライフルを構える。
「二依子のボディは射撃武器が手持ちだからな、咄嗟に撃てない」
「ご免なさい、騎士ロボのボディに似せられなくて……」
「その分威力に霊力振り込めるから間違ってはいない、俺の射撃スキルの下の方にある″ハイ・ファントム・ブラストニードル″をタップして」
指摘したスキルをタップする二依子、ザジのプラモデルボディが二丁のライフルを構えると……
「行けええ!」
轟音と共にザジのスキル、ハイ・ファントム・ブラストニードルが解き放たれる!
そのスキルは縦列に込められたニードルの弾丸を同時に加速するもの。
つまりファントムニードルを精密連続射撃するスキルであり、霊糸で軌道を集束されたニードルがバリアの防御許容をオーバーさせて貫通させる!。
「!!」
貫通したニードルはビックパンジャンロボの左腕に着弾!
腕パーツ装甲を大きく削ぎ落とし、内部に達したボディダメージから霊力の漏れが確認される。
「何だとおお!!」
イギリス代表チームが揺らぐ!
破損した左腕パンジャンに、霊力漏れを塞ぐ様にプレイヤーの応急スキルが起動中。
「随分ダメージに敏感ね……」
二依子がこの結果に眉をひそめると、ザジが解説する。
「そりゃ要五倍のボディで動くんだ、ダメージで霊力が漏れだしたら足りなくなって動きが鈍くなる」
その一言の解説に全員がツッコミを入れた!
「「これだけビックリさせといて、結局只のネタ合体じゃないの!」」
遂にバレてしまったパンジャンの仕様に、イギリス代表チームは……
「バレちゃあ仕方ない!俺達と一緒に吹っ飛んで貰うぜ!」
するとビックパンジャンロボが突然剣を出してくる!
「パンジャンビッカー!!」
そして剣を投擲!
「ザジ君、ファントムシールド!」
当然の如くザジのシールドに弾かれる!
だがそれは動きを止める布石に過ぎない!
イギリス代表が突然のポーズ!
手元にあるパンジャンコントローラー(スマホ)をグリグリ回し、正面にかざす!
「ゴットパンジャンチェーンジ!」
ビックパンジャンロボが変形を開始。
腕を折り畳み、頭を収納し、足を回して形を変えて……
今ここに!最大のパンジャンが姿を見せる!。
「ファイナルバンジャンドラム!!」
「「バースト(自爆)アターック!!」」
そこに出来上がった巨大バンジャンドラムから推進用ロケットが噴射!霊力で浮かして空中で回転をして運動エネルギーを溜め。
最高潮の遠心力で地面に降りると、脅威の加速で襲いかかる!
「うひゃあああああ!」
二依子も愛華を担ぐ菊名も、一斉に退避!
「二依子!ハイ・ファントム・クリスタルシールドだ!」
「はっ……ハイ!」
慌てて二依子がタップ!
ザジはクリスタルシールド用に、騎士ロボの盾パーツをあらかじめ持ち出しており、背中のマウントパーツから取り出して構える!
「「ハイ・ファントム・クリスタルシールド!」」
構える盾パーツに霊力が集束し、結晶のような霊力現象が盾を保護!
強力な霊力現象を結界に転用した防御スキルが展開される……が!
「「シールド&ジャンプ台!!!」」
その言葉通り、ザジはシールドを傾けてパンジャンを受け流す方法に打って出たのである!
そう……
その日、パンジャンは……
空を……
飛んだ!!
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