第41話「君もザジ君をゲットしよう」
立ち込める埃!
吹き飛んだKIRIKU兄のプラモデルが瓦礫の隙間に無くなった頭から難着陸!
「やったか…!」
だがここにおいて菊名が言ってはいけない台詞を吐いてしまった!
巻き上がる埃を切り裂く様に、中からプラモデルが霊力をチャージして復帰する。
「まだだ!たかが″メイン兄貴″がやられただけだ!」
酷い言われようのKIRIKU兄貴の霊体が外れ、補助員の弟が憑依状態になる。
「時間切れ一杯まで足掻く!…兄さんよりも上手く扱えるんだ!」
ちなみに弟単体だと、序列は9位だ。
「あれが…例の裏ボス!」
頭部を破壊され、霊力が漏れておごつかない動き。
だがKIRIKU弟はこのガッツ状態が最大の武器となる″ラストダンス″スキルを所持していた!
「HP1!へっ減らない!あ、あとわずか1ポイントの耐久値が…!」
菊名が驚愕する。
KIRIKU弟のバトルスタイルなのか、ナイフを捨てると…
霊力でスイッチを押したのか、何やら道具箱から武器となるモノが飛び出した!
「何?あれ?水鉄砲?」
エアブラシの様にも見える″ソレ″を構えると、強い勢いで愛華が入っているフィギアに吹き付ける!
「へっ?」
吹き付けられたのが左肩周辺、物理的なダメージはないが…
愛華が間接部分に違和感を覚えると、左腕を確認した。
「まさか…!」
そう、液体を吹き付けられた上半身胸部パーツの間接部分に、亀裂が確認されたのである!
「え?えええ?!」
「え?なに愛華どうしたの!」
二人が困惑している!
そう吹き付けられた液体はエナメル等の、プラスチック溶剤!
加工の激しい部分がプラスチックの伸縮を伴い亀裂が走る!
「えええ?!」
愛華が攻撃の動きを止める、下手に動き回って自壊する可能性があるからだ。
「落ち着いて!愛華なら霊糸で補強位出来るでしょう!」
「あわわわ!そうだった!」
だが少し霊糸で繋いだ位では簡単な補強にはならず、一撃が見舞えばボディの崩壊が進む。
「これぞ、ワンパンデスマッチ!必勝の型!」
KIRIKU弟が再び取り出したナイフ一本で構えると、失った頭部にナイフを舐めずる本人の幻影が浮かんで見えた。
「菊名ちゃん、今のままじゃ対等じゃないわ」
「へ?愛華?何を言ってるの?」
愛華の唐突な言葉に菊名が戸惑う。
そう言うと愛華が可動フィギアの、壊れかかった左腕を霊体の手でつかみ…
引き抜いた!
「これで許るせ…」
菊名が目を丸くしている。
「ちょっとー!愛華!何左腕を引きちぎってんのおおおおおお!!」
愛華が憑依したフィギアから霊力が漏れている。
しかし引きちぎった左腕はそのまま愛華が武器として装備する!
「KIRIKU弟と同じリーチになれた…」
愛華の行動に菊名が困惑した。
「そうだね!リーチだけは一緒だね(錯乱)」
これは流石にKIRIKU弟も苦笑い。
「決着を付けよう!」
踏み込むKIRIKU弟!いつの間にかナイフからバズーカに持ち換えている!
例の腕のリーチが警戒を強めたのか、早くも切り札の隠しバズーカを出して来たのだ!
「ああああ!隠し武器ズルい!」
菊名が驚愕する、もう勝利のビジョンが見える状態ではない。
「必殺!!腕くれてやるブーメラン!」
そう言うと愛華も引き抜いた腕の隠し要素、霊力強化カッターの腕ブーメランを解き放つ!
「いつの間にそんな改造したの!!?」
菊名のツッコミも追い付かず、
「!!」
両者同時に射出&投擲!
だがそれらは交差することなく…
飛来してきた乱入者に直撃して止まったのである!
バズーカの弾頭も、カッターの飛び出した腕ブーメランも!
″ノーマルボディ″の強力な!
″ファントムシールド″には歯が立たず弾かれた!
そう…
ここで飛来してきたのが、ザジである!
「今すぐに!アプリによる半端な憑依状態を止めろ!憑依中毒で肉体との繋がりが緩くなるぞ!!」
ザジの黒い騎士プラモデルボディは両者に剣を構え憑依中止を促す!
ここでKIRIKU弟がザジに食ってかかる!
「憑依中止だと!バトルに割り込んで来た場合は双方の相手がセオリーだ、覚悟してもらう!」
ここで菊名がスマホを見ながら戸惑う。
「な、なにコイツ!?本体は何処よ!相方も無しに強力なスキルを使うとかどうなってんのよ!」
生放送のコメントが激しく流れる!何やら意味深なコメントが出ている模様。
「おいおいなんだよこれ?」
焦ってるのは交代したKIRIKU兄だ 。
やられた事により憑依が解けて生放送のコメントを読んでいた様で、ワナワナと震えて叫ぶ!
「黒騎士だ!コイツ2年前の憑依中毒事件の関係者!」
震えるKIRIKU兄の様子を見てザジは煽って見るかの如く名乗り出た!
「そうだ!俺が″亡霊憑依″の黒騎士だ!アプリの消去をしないと末代まで祟ってやるぞ!」
実際ザジにそんなことは出来ないが、ここで嘘でも付いて亡霊特有の恐怖を植え付ける戦法に出た。
「あわわわ!菊名ちゃん、どうしよう祟られちゃう!」
愛華とKIRIKU兄には嘘も方便の様で、ブルブルと震えているが…
KIRIKU弟と菊名にはザジが違う姿で見えていた!
「コイツ…ステータスが私達の3倍以上あるわ!」
「兄さん!ビビってないでコイツのレアリティを教えてくれ!霊力は?スキルのリキャストは?耐久値は?」
恐れる所か何やら新種のポ○モンでも見るかのよう。
「ポゼッションアウト!バトル終了!」
そして掛け声とアプリの音声と共に愛華とKIRIKU弟が憑依を解く、双方全く中毒と言う様な症状的なモノは一切ない。
「善し!物分かりが良いな!てっきりもっと抵抗されるかと思ってたぜ」
ザジが安堵のため息をつく、しかしここからザジの想定を超える事が起こると思っていないようだ。
「愛華!」
「うん菊名ちゃん!」
ここで愛華と菊名が上着を脱ぎ出した!
「兄貴!」
「応ッ!」
KIRIKU兄弟も何故か上着を脱ぐ!
これにはザジも困惑。
特に愛華の脱ぎ出した際に発覚したワガママボディが目立ち、ザジが動揺する。
その場にいた四人共に上着を持って構えると、一斉に飛びかかった!
「確保ーッ!」
これにはザジも驚愕する!
「えええ!ちょっとなんだよ!お前ら一体何を!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます