第35話「おやつとフォッカーのおこずかいは三百円まで」
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あの戦闘後、一日が経過。
キャンパーの屋根の補修作業が必要であり、一時的に山間の荒れた車道を外れて人気の無い野原で停車していた。
キャンパーの修理には全員が辺り、道中で拾ったスクラップや廃車を見つけてファントムスラッシュ等で部品を切り出し
溶鉱炉を使って溶かしたり流し込んだりと部品作成作業が進む。
「溶けた鉄やアルミ何かは、ウチら霊体には別に熱くないし霊体の手で運んでも大丈夫や」
ねぱたは作業用の共同ボディであるロボットトイのモブロボ(ジ○やザ○的な)ボディでユナと作業を進める。
ユナは札から出れないが、熊のヌイグルミからは出れない訳ではないので札の箱を入れ換えて、別のヌイグルミに入り作業を手伝っていた。
「霊力で硬度を歪めて切り出したり、溶けたアルミを霊体の手で器用に掴んで形に入れたり、接合部分に会わせて接着したり…」
「みんな器用ですね」
ユナはてっきりすぐ修理なんて出来ないと思っていたが、見た目や形だけならすぐにも完了しそうな勢いである。
「補修作業は順調だ、明日にも移動を開始する」
カンチョウは3Dプリンターで必要パーツを作成しつつクルー全員にねぎらいの言葉を言う。
「屋根の補修は出来ても備品の消耗はどうしようもない」
ドクは今回の巨大霊体のとの交戦での消耗を語る。
「砲台の修理部品、消費した矢弾、破壊されたボディ、摩耗した車の部品etc…」
「自作可能な部分もあるが、やはり購入可能ならそうした方が楽だろう」
ドクは幾つかの部品や装備をまとめているようだ。
「この姿で買い物ですか!仮にネットで買っても受取人とかどうするんです?」
ユナは困惑していた。
「我々にも協力者が居てね、受取人は代行してもらえるんだが、迷惑な量になりそうなんで…」
「今回はそう言うルートではなく亡霊の商会を使おうと思っている」
カンチョウの話を聞く限り、仕入れに困らない様子だ。
「亡霊のお店ですか!単位はちゃんと円で買えるんですよね?」
ユナに対するカンチョウの回答は…
「現在の相場で…一霊力は135円だったような」
「「霊力に相場がついてるんですか!?」」
作業しながらねぱたが会話に参加する。
「宵越しの銭も馬鹿にならへんねん、んでもって霊力も買える時代やねん」
「だから奪い合いとかよりも平和的解決も可能なんや…まあ、海賊とかもおるけど」
「「平和的じゃないじゃないですかー!!」」
今日もユナのツッコミは海賊王に成りそう。
屋根の上はビニールシートで工事中らしい囲いが付けられていた。
中でザジがガールズプラモデルで作業を手伝ってる。
「いいのか悪いのかボディ不足でこれしかないんだけど、そろそろマトモなボディが欲しい」
ねぱたがザジに寄り被って聞く。
「なんや?もしかしてあの子んトコ行くんか?」
「しょうがないだろ、アレ壊しちゃったし…別にボディを修繕依頼してきても」
ユナがその″あの子″に反応する。
「うおお!何というジェラシー!これはヒロインとして、いざお顔を拝見させて頂きとうございますなウヘヘヘ」
もはやヒロインとは何だったのかとも言わせるフリーダムな発言のユナは、お代官の前にいる越後屋みたいである。
「ドク?長距離移動を出来るブースターセットって出来る?」
ザジはドクに移動補助の乗り物を作成出来るか訪ねる。
「キャンパーからの距離的には遠くないが住宅街に侵入する以上、人にバレないようにしないとな」
「解ってる、ニ依子(にいこ)以外の人間には気付かれないようにするよ」
ザジの移動プランがドクに提案される。
「フォッカーが推進力アップブースターの大型ドローンで乗せて、現地で体を即交換でいいか?」
ドクの回答は使い捨てのボディでの交換による運搬だ、ザジなら可能という事が前提だろう。
「キャンパーの外でやると霊力の消費リスク大きいけどね」
「なるほど、では連絡するのです…メールでも何でもレディー・ニ依子に今すぐにでも」
ユナは完全に別人になってザジに逢瀬をレクチャーし始めた。
「何だよう…急に困るじゃないか、花とか持っていかないぞ、アイツの部屋に飾るとこ無いからな!」
ドクが大型コンテナとドローンを合体させた様な運搬用ドローンを出してきた。
「コイツのテストも兼ねよう、夜に紛れて飛べば人に見つからない様に迷彩を施しておく。」
「サンキュードク!じゃあグループメール出しておくよ」
ザジはちゃっかりSNSでのID交換位はしているようだ。
カンチョウは先の予定を組始めた。
「まず、備品の購入は″地下帝国″で行う」
「地下帝国?!何ですかそれは!」
ユナの反応は実に正直である。
「近隣の大型の亡霊コミュニティーだ、ちょっと移動をしなければならないが市場が確立しており取引しやすい」
「ついでにユナちゃんの札の情報も貰えそうなアテが居るねん、其所の最古参は結構亡霊を長いことやってるらしいわ」
ねぱたが作業を終えて会話に参加。
「俺は例のロボットの時に知り合った、オペレーターの人に連絡してみようかな」
フォッカーが以前にジェスチャーで聞き出したメールアドレスを、使おうとしている。
「では君たちのせいで酷い目にあったと打診しておきたまえ、…うんカンチョウ命令だ」
「あッハイ」
フォッカーの肩に手を置いたカンチョウ、目がちょっと怖い。
カンチョウが続けて活動プランを立案する。
「市場での購入には限りがあるから、細かい備品はガレージの人間の協力者を頼る」
「我々に協力してくれるなんて凄い良い人何ですね」
ユナの反応も再び正直だ。
「サーバールームのラマー君のコネだよ、備品の購入案件は後でレストルームで皆集まって協議しよう」
こうしてそれぞれの予定が決まり、購入備品会議がレストルームで行われる。
そうそこは決戦のバトルフールド!
購入備品は限られる資金で行われる為、あれこれ欲しいは正に法廷の如く審議に掛けられるのだ!
「意義あり!」
「フォッカーさんが″ロボットのオペレーターに贈る花″は購入の必要はありません!夜なべして造花してください!」
そこでは既にノリを完全に把握したユナが購入者被告人フォッカーを論破していた。
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