第6話「反撃のファントムズ」

 ユナは入り口の前までやって来るが、自分のヌイグルミの体では紙すら破れない事に気が付いた。

 

 「はぎゃああ!こんなユルユルな爪と牙で何も出来ない、無害過ぎる!」

 

 ユナが入り口でもたついると次々紙が体を切り裂きに飛んでくる!

 

 「おっとあぶねえ!ヌイグルミは切り裂けてもプラスチックは無理ですかー?」

 

 ザジが身代わりになって紙の攻撃を受けた、言葉道理全く傷付かない。

 

 「ねぱた姉!要介護一名!ヌイグルミじゃあ分が悪いや、ボディ壊され放題だぜ」

 

 ザジの救援要請、どうやら下に居るねぱた女史に助けを求めた様だ。

 

 「ちょい待ってなー、今カンチョウにハンドル渡すわ」

 

 どうやらまだキャンパーの中に仲間がいるようである、そうこうしていると再び鳥の式神が紙吹雪でユナを切り裂きに紙を飛ばしてくる。

 

 「よっと!ほっ!はっ!」

 

 ザジはプラスチックの剣を振るって紙吹雪を斬り払う、不思議なことに良く斬れているのである。

 

 「ええアレ?その剣、玩具の剣ですよね?どうなってるの?ホワーイ?」

 

 良く見るとプラスチック製の剣の周囲が光っている。

 

 「亡霊舐めんなよ、この体に入る為に霊体圧縮してるんだ!小さくてもこんな奇跡はお手の物だぜ!」

 

 すると今度は入り口の方から同じ青い光りと供に、塞いでいたコピー用紙を内側からジャンプキックで打ち破る特撮モノのフィギアが出てきた!

 

 打ち破られた紙は直ちに普通のコピー用紙に戻っており、あっさり風に飛ばされて行く。

 

 「待たせてゴメンな!ウチが回収に来たで、アンタがユナちゃんやんな」

 

 特撮モノのフィギアからは先程のねぱた女史の声が聞こえた、これが彼女のボディの様である。

 

 「はい!ユナはわたくしめで御座います!ハラワタ飛び出した!シヌー!」

 

 始めてのボディダメージでもありユナは不安で一杯の様子、自己紹介もすぐに済ませてそそくさと入り口に駆け込む。

 

 「助かったあああ!」

 

 ユナは入り口を抜けて大きな広間にたどり着き下手りこんだ。

 中は広間の作戦室、キャンパーの内部をいくつもの天井で割り振っているらしくユナの体でも天井は高くない。

 

 後ろを振り替えるとキャンパーの操縦席側に大きなモニターがいくつか囲むように並んでいた、外の様子が映っている。

 本来は12インチとかの小さなモニターでも彼らにとっては映画館の大スクリーンである。

 

 モニターの前にはブロックトイの小さな人形が指示を出していた。

 

 ブロックトイの人形はユナの気配を感じとると振り返って自己紹介を始める。

 

 「私がカンチョウだよ、ユナくんお疲れ様、ゆっくりしてていいよ」

 

 カンチョウは手慣れた作業で霊体を拡大してハンドルを操る、熟練の亡霊ドライバー様子である。

 

 「カンチョウー!そろそろこの紙の鳥に一発噛ましたいんやけど砲塔出してええか?」

 

 その関西弁のねぱた女史の要請を受けてカンチョウが承認を出す!

 

 「許可しよう!上部砲塔群展開!標準操作は二人に預ける!」

 

 「よっしゃ!」

 

 「オッケー!」

 

 そう言うと駆動音が鳴り、何やら競り上がるパーツが沢山増えて、キャンパーが走る要塞の如く武装を展開する!

 

 競り出したパーツからはエアガンやボウガン、自作ミサイル等が展開して並んでおり、もはや戦力的にも過剰と言わざる終えない。

 

 「よくもやってくれたもんだなあ、一気に塵に変えてやるよ!」

 

 

 

 

 その頃、後ろを走る黒服達の車の中で頭目の女が歯軋りをする!

 

 「ちっ、あの式ではもう持たん、距離を詰めて勝負にかけい!」

 

 「はっ!」

 

 後ろから黒服達の車が詰始めてくる!

 

 

 

 反撃は正に一方的!飛び交う紙吹雪も沢山の電動マシンガンで無力化されていく。 

 足りない紙を補おうとする為にキャンパーのフロントガラスに張り付いた紙も回収して体を再生するものの。 

 キャンパーから花火満載のミサイルが発射され、挙げ句起爆タイミングを霊力でコントロール、ピンポイント起爆で致命的被害を受けて大部分の紙を失った。

 

 だが陽動として十分に役目を果たしたのか、黒服達の車は気付かれずに接近を果たすことになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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