第65話 奥さま達との初デート? (4)

 儂はその言葉を聞き「えっ?」と、驚嘆が漏れそうになった。


 でもね、我が家の奥さまは、「そうですか~」と、言葉を告げるのみで。


「いこうか~、パパ~」と明るい声色で、夫の儂へと告げるのみでね。儂の手を引き急かしながら、買い物カードを作るコーナーを後にするのだよ。


 するとさ、儂の背に向けて、店員の姉ちゃんが嬉しそうな声色で、「有難う御座います。お客様~」と、お礼の言葉を告げながら。儂等夫婦を見送ってくれたのだよ。


 う~ん、でもさ、儂は先程からどうも『ふ』に落ちないことがあるから困惑をしているのだよ。


 だって良く考えてみてくれ?


 買い物カードの担当の姉ちゃんは、自宅と仕事場の、電話の確認がとれたと、儂等夫婦に告げた。


 でも儂は、傍から見ている皆が知っての通りで。数時間前に、元女房に家から追い出された宿無し男……。


 だからローン会社からの自宅や仕事の電話なら儂のスマートフォンへとかかる筈なのに。儂の許に電話がかからずに自宅と会社の確認電話がとれたのが不思議でならないのだ。


 だからセリカに手を引かれて、二階へと上がるエスカレーターへと向かう儂なのだが。先程からどうも納得ができないでいる。


 と、儂が思っていると。


「プル、プルプル……」


 ん? どうやら、やっと儂のところへローン会社から確認の電話かかってきたと思っていると。


「パパ~、スマートフォンへと電話だよ~。早くでないと~?」



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