第56話 異世界からの電話? (17)

 するとね、セリカちゃんは相変わらず、スマートフォンの向こう側で『シクシク』と、泣いている状態……。


 その上こんな不満迄儂に、泣きながら告げてきた。


「(だから先程から言っているでしょ~、セリカは~。お金などいらないって~、パパに~。それにさぁ~、先程からパパは、セリカのことを詐欺師だと嘲笑っているけれど。いつセリカがパパにお金をくださいって言ったの~? セリカは未だそんな言葉を一言も言っていないよ~? ケイン君の養育費だって、パパの住んで居る世界で暮らさなければ、お金などかからないし。今迄の養育費だってセリカは一円だって未だ請求などしていないに……。パパは先程からセリカのことを詐欺だ! 詐欺師だ! と、ばかり思っているから。もうセリカはパパのことなんか大嫌だし。ケイン君だって、もう見せてあげないから~。絶対に~)」


 う~ん、確かに、儂はセリカちゃん対して、酷いことを言い、思ったかも知れんが。やはり儂は、ここ数年……。


 いや、十数年遡って思案をしてみても、元女房だったあいつ以外の女性と交わった記憶はないのだ。


 だからやはり、セリカちゃんの産んだ子供は、儂の子ではなく他人の子供だと思う?


 だから儂は再度セリカちゃんに、「あのね~、セリカちゃん~?」と、迄言いかけた。


「(だから何度も言っているじゃない! セリカはパパの住んで居る世界の人達とは違って、妖精なのだと……。だからパパ~。よくよく思い出してよ。セリカの名前……。セリカの名前をつけたのはパパなのだから。過去を思い出してよ、パパ~? お願いだから~)」


 まあ、こんな感じで、セリカちゃんから力強く問われた儂なのだが。


 う~ん、過去ねぇ~? そして人ではない妖精か……。


 その上、名前がセリカ……と、きたら~。心当たりがある女性は一名だけれど。彼女はゲームの中のヒロインキャラクターであり、NPCだから関係がないので……。


 他にえぇ~と……。



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