第49話 異世界からの電話? (10)

 と、いうことは先ずない。あくまでも物の怪や妖精は架空の世界の者達だから。

 それこそ? 儂が老後の為にと日夜暇をみては書き記載──。


 投稿しているネット小説の投稿サイトに書かれる世界のヒロインや主人公──登場人物だけの架空の者達だけだから。


 儂が今スマートフォン越しに相手しているセリカちゃんは多分、男性──。


 それも老人狙いの女性詐欺師だと思う?


 だから彼女の仲間が、儂の家や車の周りに隠れ潜んでいるに違いない。


 そして儂の情報を得る度に、セリカちゃんへと教えて。如何にも儂のことを知っているような振る舞いを強いるだけかも知れない?


 実際今の儂は、再度彼女への猜疑心が湧く迄は、セリカちゃんのことを信じ、安堵しながら話しを聞こうとしていた。


 それに彼女の訳解らない台詞……。


 自身の住んでいた世界に帰還をするという言葉を信じて。


『セリカちゃん~。いかないでおくれ~。頼むから~。独り身になったおじさんを捨てて~。自分の住む世界に帰らないでちょうだい~。お願いだから~。儂はセリカちゃんの為なら~。いくらでも貢ぎ続けるから~。この老化した身体に鞭を打って~。だから頼むよ~。セリカちゃん~』


 まあ、こんな感じで泣きながら彼女を呼び止め──。キャッシュコーナーの機械が設置してある場所まで行き、限度額一杯迄ローンを組み──。お金を卸しそうな気がする。


 だから儂は若い女性の甘い声色に騙されず、早く我に返って良かったと思う。


「(パパ~?)」


「ん? 何~? セリカちゃん~?」


「(今パパは、セリカがとっても不快になる失礼なことを思案しているでしょう……?)」



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