第34話 儂は家族に憤怒して家を飛び出した (5)

 まあ、家の息子は、こんな酷い言葉を父親である儂に向かって、不満をあらわにしながら暴言を吐いてきた。


 だから儂は、最初は怒りをあらわにするよりも、先ずは呆然としたのだよ。

 だって儂は、まさか、家の息子に、こんな酷い言葉……。


 そう父親である儂を嘲笑う言葉を女房だけではなくて息子にも吐かれるとは思わなかった。


 だって父親である儂が、必死になってパソコンの画面と睨みあいを繰り返しながら書いている姿を、息子自身も見て、『おやじ、今日も頑張っているなぁ~』と、思ってくれていると思っていたのだが。実は違ったようだよ……。只単に頭の弱い父親がくだらないことをしているぐらいしか、思っていなかったようだ。


 だから儂は、『ううう、本当に切ないよ……』まさかここまで、家族に否定され物笑いにされてしまうとは思わなかったよ。儂が懸命になって書いた物語が……。


 でッ、後に儂の脳裏に浮かんだ言葉は、『お前達二人が、そこまで嘲笑うほど酷いのか? 儂が書いた物語は……』と、思ってしまったよ。


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