第33話 儂は家族に憤怒して家を飛び出した (4)

 だから儂も息子の話を聞いて、自身の気を落ちつかせると、少しばかり恥ずかしいからやめようと思ったのだよ。近所迷惑にもなるしね。家の出入りの最中に、御近所さん達と顔を合わすと大変に恥ずかしい思いをするからやめることにする。


 う~ん、でもね、儂と対峙している鬼のような心を持つ女房の方は、そうはいかないみたいだ。未だ儂に対して憤怒して怒りをあらわにした様子だから。多分? 彼女自身は納得をしていない状態だと思うからまた口を開いたよ。


「うちは知らないよ……。このひとがいきなり、何を思ったのかしらないけれど? 自分自身が書いている物語を読めと、うちに強引に勧めてくるから、嫌だと告げたら喧嘩になっただけだから……」


 と、家の息子に、儂への不満の言葉を漏らした。


「えっ? そうなの?」


 家の息子から直ぐに、こんな言葉が漏れてきたのだよ。


 でッ、その後は、女房口から、「うん」と言葉が漏れて。それに続くように息子の口からも。「お袋が読みたくなければ、別に無理して読まなくてもいいよ」と、言葉が漏れると。今度は父親の儂に対して。


「おやじ、もしかして? 未だ書いていたんだ小説? おやじも、もうそろそろ、いい加減にやめたらどう? おやじの小説の内容は全然面白くもないから……」


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