chapter14 「等級別総合原価計算」って何!?

 ある日曜日、私は煉先輩とショッピングモールでデートしていた。


「ペアリング、嬉しいなぁ♪」


「俺が働いていたら、シルバーじゃなくプラチナの指輪を買いたいんだが…今はこれで我慢してくれ」


「いいの!先輩と同じ物を持てるのが、私にとっての幸せなんだから!!」


「美琴…」


「それにしても、大きさだけが違うペアリングって、同じ素材から作られている訳で、この間の戸山先生の授業でやった「等級別総合原価計算」を思い出します♪」



***



「よ~し。今日は「等級別総合原価計算」をやるぞ~」


「等級別といっても、今までの「工程別」「組別」のように、「1級仕掛品」「2級仕掛品」のような勘定科目があるわけではない」


「等級別総合原価計算は…」


「『「仕掛品」は1つ』『「製品」は「1級製品」「2級製品」のように複数に分かれる』であることが特徴だ」


「せんせ~仕掛品勘定が1つしかない状態で、どうやって各等級の製品に原価を配分するんですか?」


「ウム。良い質問だな。今までやってきた「工程別」「組別」は、各仕掛品勘定に明確に費用が分配されていったから分かりやすかったが、今回の「等級別」の場合、一つの仕掛品勘定に集計された製品の製造原価を、製品が完成した際に使んだ!」


「「等価係数」?」


「「等価係数」っていうのは、各等級製品に配分する際の、大元の「割合」と考えればいいだろう。」


「例えば、同じ色のTシャツをL・M・Sの3サイズ製造したとして、Lサイズの大きさを1とした時の、他のサイズの大きさは(Lは1.0)Mは0.8、Sは0.6となった場合、この1.0、0.8、0.6を「等価係数」として使用する」


「この等価係数に「完成品数量」をかけたものが「積数」となるんだ」


「今回の例で、各サイズの完成品が、Lは200個、Mは210個、Sは150個だった際の積数は…嶋尻、ちょっと前に来て書いてくれ」


「はい!


L 1.0 × 200 = 200

M 0.8 × 210 = 168

S 0.6 × 150 = 90


ではないでしょうか?」


「正解!よくできました♪」


「この、各サイズのという訳だ」


「積数の合計が458ですから、例えばLサイズの場合は…


総合原価 ÷ 積数の母数(458) × Lサイズの積数(200)


で計算をすればいいんですね♪」


「そういうことだ」


「等価係数は、各問題毎に異なる設定がされているから、問題文をよく読めば間違えることはないぞ!」


「それから「等級別」に似たものに「」というものがある」


「「連産品」?」


「「連産品」というのは、だ」


「例としては、マグロを解体すると「大トロ」「中トロ」「赤身」のように、様々な異なる部位の商品がだろ?こういったものを「連産品」と言うんだ。」


「ただ、「連産品原価計算」も、「等級別」と同様に「等価係数」により原価を配分する。この時の等価係数はだ」


「いずれにしても、「等級別」も「連産品」も、「等価係数」により「積数」を算出し、それにより原価を配分することに変わりはないぞ!」



***



「そうか…もう「等級別」まで進んでいるのか。「工業簿記」においては、ちょうど「折り返し始点」といったところかな…」


「えっ!?そうなんだ…そうしたら、もうすぐ先輩に追いつくってことだね♪」


「残念ながら、俺も大学で勉強をしているから、そう易々とは美琴に追い越されないぞ!」


「ええ~そうなんだ…まっ、いいや♪」


「ねぇねぇ先輩!今度は、あそこのお店に行ってみようよ!!」


「おい!美琴!!そんなに早く先に行かないでくれ!!」


「早く早く~♪」


chapter15 に続く

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