第156話 竜人の巫女Ⅶ

 平野を移動する馬車数台。辺りには平原が広がっていたが、徐々に森地帯へと近付いてくる。馬車が小石に当たるだけで、小さく揺れる。


「・・・やっぱり馬車には慣れないです」

「私もよ。小さな石でも揺れは大きいし、何よりも、その揺れが私は苦手かな」


 座っているのは柔らかいクッションでも、揺れた時には上下に揺れるためにエレニアは少々苦手である。馬車で移動開始して既に2時間が過ぎた頃の時である。


「まだ乗り続ける事だし、さっきと同じく、お話しよ」

「そうですね。時間は徐々になくなってきてますけど、エレニア姉さんにはまだまだお話したい事があるのです」

「あら、またお兄さんの事?」

「はい!!」


 シャルは大きく声を上げながら、会話を始めた。



「今の所は何もないか」


 上空から移動しながら見ているけど、この調子なら野宿って感じだ。朝方には王国に到着すると見て間違いない。

 装備は手入れを覗いたら短剣程度しかなかった為に短剣と使い捨て用の針5本しか持ってきてない。そもそも手入れしていた針は15本だけであり、それのほとんどを妹に渡したのが原因であるが、襲ってきたら最終的に変異で片付けるから問題はない。

 妹には私の変異の力は知っている。学校で変異で姿変えて正解であった。

 まあ、巫女って事は何らかの力を持っているのは事実である。そういや、結構昔に先の未来が分かるとか言っていたような気もするが、もしかしたらそういう関係の力なのかもしれない。

 もし未来を見る力であるなら、学校で正体バレていたかもしれない。だけど、実際にはバレてないので、力を使ってないのかもしれないか。だが今は予想だけで動くのは良くないか。

 ・・・いや、近づく奴らがいる。だが、今の所襲う感じではない所、様子見と見るべきか・・・。武器だけは用意しておくか。

 腰に装着していた短剣を取り出し、上空で待機した。



「変身能力?」

「えぇ、女性にも魔物にも慣れちゃう力です」

「それは見てみたいね」

「私達は羽があるから、空飛べるんですけど、兄には翼がないです。実際には変異で翼生やすなんて簡単ですけど、それだけじゃあつまらなかったらしく、浮遊魔法を作ったんですね」


 夜遅く、馬車は森の平地で止まり、焚き火がいくつも炊かれていた。そこには馬車に乗っていた騎士達が森から回収してきた枝などで次々と行われていた。


「そんな力、見てみたいですよ」

「そうですね。ですが、なぜか私の力では兄様の未来を見ることが出来ないんですよね」

「どういう事?」

「そのままの意味です。兄様限定でまるで未来があるようでない、そんな感じです」

「巫女の力ってやっぱり、万能じゃないのかな」


 用意されたご飯を食べながら、エレニアは空を見上げていた。

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